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第2話 中に入る

悠真は後ろの号車へと足を進める。

少女の視線に導かれるように歩くたび、頭の奥に微かな声が響いた。

「うふふ、なんだか楽しいね」

その声は悠真の意識に直接入り込む。

次の瞬間、体に冷たい感覚が走り、まるで何かがスーッと自分の中をすり抜けるような感覚に襲われた。

「な、なんだ…!?何をした!」

悠真は思わず頭の中で叫ぶ。

体の中に少女の存在が入り込み、感覚や思考をかき回す。

理性はまだ残っているが、身体は少女に少しずつ支配されるような感覚を覚えた。

「もう…うるさい!」

少女の声が鋭く響く。悠真は思わず息を呑み、座席に倒れ込む。

体の力が抜け、目を閉じると、混乱と奇妙な感覚のまま眠りに落ちた。

頭の中にかすかに残る少女の笑い声——

「うふふ、なんだか楽しいね」——

現実と夢の境界が揺らぐ夜。悠真は、その不思議な感覚に身を委ねた。

悠真は座席でうつらうつらと眠っていた。

列車は夜の街を静かに滑るように走っている。

肩を軽く叩かれ、声が響いた。

「警察官さん、もう終点ですよ」

車掌の低く穏やかな声に、悠真は目を開けた。

外はまだ暗く、夜が明ける気配はない。

車内の蛍光灯に照らされた座席は、昨夜の光景を思い出させるかのように静まり返っていた。

しかし、隣には昨夜の少女はいない。

赤いランドセルも、影も形もなく、車内にはただ静寂だけが漂っていた。

「……夢だったのか…?」

悠真は小さくつぶやく。

「それより、ここ終点だよな?はぁ〜タクシーか〜」

頭の奥には、あの無邪気な声がまだ響く——

「うふふ、なんだか楽しいね」——

現実ではないはずなのに、胸の奥で生々しい感覚がじわりと残っていた。

悠真は立ち上がり、制服の乱れを整える。

夜の静かな駅で列車が止まり、静寂が広がる。

だが、あの夜の不可解な出来事は、確かに現実として、彼の中に刻まれていた。

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