表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コモリズム

作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ

 私の名前はこほうぎこなた、コモリストだ。

 子守をする主義のひと──ではない、ただ同じ部屋に籠もり続けることを人生のメインディッシュとする人間なのである。


 今日も日帰り温泉施設『ゆったり天国』のサウナに私は籠っている。コモリズムを貫いている。


 ここはとても暑くて湿気も凄いが、衛生的で好きだ。カビもキノコも無縁の部屋だ。できれば一生ここに住んでいたいものだ。


「お客さん、困ります」


 またあのババァが掃除道具とともに入ってきて、うるさいことを言いやがる。


「もうこれで3日めですよ? いい加減に帰ってよ」


 私はババァを無視した。

 金を払っているのだ、850円も。

 ここに籠っていて悪い理由がない。


「……まぁ、あたしゃ、ただのお掃除おばさんとして雇われてるだけだからね、強くは言えないんだけど」


 上のひとに言いつけてないらしい。

 それだけはありがたかった。


「でもねぇ……。あんた、よくこの部屋の中で生きてるね? 3日間、ずーっと動いてないじゃない?」


 当たり前だ。私はコモリストだ。そのへんのへにゃけたやつと同じにされては困る。


「食事はどうしてるの?」


 たわけたことを聞くな。

 コモリストは3日ぐらい何も食べずとも平気なのだ。乳に栄養は蓄えてあるわい。


「排泄は? まさかここでしてないよね?」


 ばかものめ。

 これだけだらだらと汗を垂れ流しているのだ。一緒に出ているにきまっている。


「それじゃ、また明日、来るからね」


 ──と、いうことは、もう閉館するぐらいの時間なのか。23時前とみた。


「明日はおにぎり作って持ってきてあげよっか?」


 甘く見るな。私はコモリストだ。そのような情けなど……



 あれ……?


 目から汗……?





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
850円だと! 昨今は素泊まりでも一泊4000~30000円(札幌市)じゃわい! おにぎりで外まで誘導しちゃる!
近年では「サ活」と言ってサウナで整おうという人がたくさんいらっしゃいますね。 TVerで検索しているとサウナに特化した番組が幾つも見つかりますので、サウナ愛好家の人口が一定数いる事が伺えます。 しかし…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ