転生したら女だった件
佐藤悠斗、17歳。別に目立つタイプじゃない。学校では目立たず、友人とゲームや漫画の話で盛り上がるくらいが日常だ。この日も、放課後にいつもの仲間と帰り道を歩いていた。
「なぁ、悠斗。あの新作のボス戦、マジでやばかったよな!」友人の亮が興奮気味に言う。
「うん、戦略ミスって全滅したけどな。次は絶対クリアする」と笑いながら答える。
そんな他愛もない会話の中、交差点に差し掛かった瞬間
――ドンッ!
けたたましいクラクションと、目の前が真っ白になる衝撃。トラックだ。
「うわっ!こんな死に方は嫌だあああ!」
叫んだところで意識が途切れた。
次に目を開けた時、悠斗はふわっとした感覚に包まれていた。
「ん…?」体が妙に軽い。目を開けると、天井に豪華なシャンデリアが揺れている。ベッドには天蓋がついていて、シルクのシーツが肌に滑る。
「何だこれ…夢?」起き上がろうとした瞬間、胸にずしっとした重みを感じた。
「え?」
手を伸ばすと、細くて白い腕。指先が震え、恐る恐る胸に触れる。
「柔らかい…って何!?」
慌てて飛び起きると、長い金髪が顔にかかり、視界を遮る。「髪!?」と叫びつつ、近くの鏡に駆け寄った。
そこに映っていたのは、赤い瞳が印象的な美少女。
少し幼い顔立ちに、金髪が肩まで流れ、薄い寝間着越しにくっきりと浮かぶ大きな胸。
「うそ…俺、女に!?」
鏡の中の少女――つまり自分――が同じように驚いた顔でこちらを見ている。動くたびに胸が揺れ、寝間着の裾が短すぎて太ももが丸見えだ。
「やばい、やばい、やばい!何だこの体!?」
思わず胸を押さえるが、柔らかさが逆に気になって「うわっ!」と手を離す。
顔が真っ赤になり、鏡に背を向けた瞬間、ドアがノックされた。
「お嬢様、お目覚めですか?」
可愛らしい声とともに、黒髪のメイドが部屋に入ってきた。
「お、お嬢様!?」
ユリア(悠斗)は思わず叫び、目の前のメイドを凝視した。
「はい、お嬢様。ユリア・フォン・エルディア様でいらっしゃいますよね?」
メイドがにこりと微笑みながら、手に持ったドレスを差し出す。
「お着替えのお時間でございます。お手伝いいたしますね」
「待て待て待て!自分で着るから!」
慌てて手を振るが、メイドは「遠慮なさらず」と強引に寝間着の裾をつまむ。
「ひっ!やめろって!」
抵抗するも、メイドの手際が良すぎて、あっという間に寝間着が剥がされた。胸が露わになり、冷たい空気に触れてユリア(悠斗)は悲鳴を上げる。
「見ないでくれええ!」
「まあ、お美しいお体ですこと!」メイドが無邪気に褒めるが、ユリアは両手で胸を隠し、顔を真っ赤にして縮こまる。
「美しいとかそういう問題じゃない!俺、男だったのに…!」
内心の叫びを抑えつつ、メイドが差し出したドレスを見た。胸元が大きく開き、体のラインを強調するデザインだ。
「これ、着るしかないのか…?」
渋々ドレスを手に取ると、胸の部分が窮屈で、着るだけで揺れが止まらない。鏡に映る自分は、まるで貴族の令嬢そのもの。赤い瞳がキラリと光り、金髪が優雅に揺れる。
「うわ…俺、こんな美少女になってるのか?」
感心するも、胸の重さとドレスの露出度に耐えきれず、「でも恥ずかしい!」とまた顔を覆う。
メイドに促され、部屋を出て執事と対面した。長身で白髪の老人だ。
「ユリア様、お目覚めおめでとうございます。私は執事のギルバート。エルディア家のご説明をいたします」
執事の落ち着いた声で、状況が少しずつ整理される。ここは魔法と剣が共存する世界で、エルディア家は名門貴族らしい。ユリアはその一人娘として生まれ変わったらしい。
「魔法…剣…って、ファンタジーかよ」
頭を整理しつつ、内心では「男に戻りたい」と葛藤が渦巻く。元の世界への未練もあるが、手がかりはゼロだ。
「とりあえず、この体で生きていくしかないのか…」執事が退出し、ユリアは部屋の窓から外を見た。緑豊かな庭園と、遠くに見える城。
「美少女ならモテるか…って、いや、考えたくない!」
自分で言って自分で突っ込み、苦笑する。皮肉っぽい口調が自然と出てきたことに気づき、「まぁ、この世界でやっていくしかないか」と呟いた。
ドレスの胸元を直しつつ、ユリア・フォン・エルディアとしての第一歩を踏み出す。
「さて、どうなることやら…」