『ブラックホールを吸い込んで』
真夜中にしては眩し過ぎて、電灯の無い田舎道を目をつむって歩いていた君は、そのまぶたの裏側で星が爆発したとか呟いてた。
僕はそんな君が危なっかしくて、君と手を繋ぎながら目を開きなよと何度も言ったのに、君は眩しいから嫌だと言って、開こうとはしなかった。僕が手を繋いでいてくれるから安心してるとも言っていた気がするけれど、気のせいのようでもあるから断言できない。
爆発した星は、やがてブラックホールになり、いろんな星を吸い込んで大きくなっているらしい。「地球も吸い込まれたよ」と、君は目をつむった不安定な足どりで僕に伝えた。僕は「そりゃいいや、もう今日の豚汁は作らなくていいよな」と呟いて、君の反応を待っていたんだけど、君は少しも反応しない。
田舎道を抜け、街頭のある街の外れにさしかかった所で、いきなり君は立ち止まった。繋いでいた手が一瞬離れ、その一瞬で君は目を開いた。「吸い込まれた」と言いながら黒々とした瞳は僕を吸い込むように見つめる。「なにが」って僕が聞き返すと「ブラックホールがブタさんに」とかよくわからない事を言い出した。いつもの事ではあるが、僕はどう答えればいいかわからずに、君の続きを待っていた。
「だから、早くブタさんを食べて地球を助けないと」
腕をパタパタさせながら一生懸命そんな事を言う君は、ブラックホールを吸い込むくらいの威力があると、僕は思った。
――Fin――
どうも、呟木心葉です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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本当にありがとうございました。
……では、また。
By.つぶりん