1 私と私 俺と僕
声ガスル
ダイスキデ、ダイキライデ、ニクイアノ人ノ声
友人でも家族でも恋人でもないその声は
私の脳に焼き付くような声をしていた
「....ここは?」
目が覚めると私は知らない天井を眺めていた
そこで私はしくったと思った
この状況なら「知らない天井だ...」ということができたのに
私は鷹にも負けを取らない速さで起き上がるとすぐにあたりを見渡した
周りにはほとんど何もない
本当に何もないのだ
特出すべきところはまるでダンジョンの中に来たかのように錯覚させる正方形の模様が入った壁と床だ
「この床はなんか学校を連想させるね...」
とりあえず状況を把握しよう
まずは寝る前に何をしていたかだ
えーと確か....
...何も思い出せない
ってか私って誰だ?
自分の名前すら思い出すことができない
自分の姿も親も地元も仕事場も友達も!
そもそも私は働いていたのだろうか...
これは困った
どうやら私は記憶喪失らしい
こういうのは漫画で何かきっかけがあれば記憶が戻るというのを見たことがある気がする
まあきっかけも何も思い出せないから詰んでるんだけど
まあいったん記憶のことはおいておくとしよう
さて大問題なのはここがどこかわからないということだ
見渡す限りに壁、壁、壁
大体10mくらいの長さの壁に四方をおおわれているのだ
「...デスゲームか何か始まるんじゃないか?」
そうなったら当然私には人を殺す勇気なんてないため真っ先に死ぬだろう
とりあえずここから脱出しなければならない
それが第一目標である
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...何日経っただろうか
もうおなかもペコペコで今にも死にそうである
ああ...こんなことなら新作のパフェ食べておくんだった...
ばななとチョコ、そして新作アイスの入ったいかにもおいしそうなパフェ
高いからと食べずにいたのを今更になってとても後悔した
ああ、誰でもいいから超絶美少女の子が助けてくれないかなぁ...
ガチャリ
まるでドアが開いたかのような音が当たりに鳴り響いた
ついに幻聴まで聞こえるようになったか
この空間にドアなど見つからなかった
その為この音を幻聴だと思っていた
「だれかいるの?」
透き通るような美声があたりを満たす
誰もが聞きほれるような美声
これがセイレーンの声といわれても私は全く疑わないだろう
ああ、ついに天使が舞い降りてしまったのか
そう思い私は声のした方角へと顔を向ける
そこには天使でも悪魔でもなく、紫髪の猫耳の生えた少女が立っていた
私はあっけにとられているとその少女は私に話しかけてきた
「えっと...大丈夫?」
ああなんて可愛いんだろう...じゃないじゃないなんか返事をしないと
「あ、え...あ」
ここずっと水を飲んでいないせいか声が出なかった
それでも、ふり絞って声にもならないような声を出した
「み...ず....」
それが私と彼女の出会いだった