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「ふーん、まあ、そういうこともあるのかな」
いまいち釈然としない様子だが、納得したようだ。
「ところで、もう一つばかり面白い話があるんだけど、聞く?」
男子生徒はここからが本番とばかりに気合いをいれる。
しかし、
「いや、もう帰る」
「ええ!そんな!ここからが本番なのに!」
驚く様子の男子生徒。
「もう時間も時間だ。そろそろ帰ろう、檜山」
「ちぇっ、わかったよ、貴崎くん」
檜山は自分のバッグを担ぐと、ひと足さきに教室を出る。
「昇降口まで先に行ってるよ」
俺も帰り支度を手短に整え、教室を出る。
教室を出る直前、振り返り窓を見ると、空はもうすっかり暗くなっていた。