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テーマ詩集:水

蛇口が結ぶ水滴

作者: 歌川 詩季
掲載日:2023/01/09

 節水的には、よくありませんが。

 きつくしめられた細い口から

 結んだ一滴を しぼりだすように垂らす


 ぴちゃん


 ゆるくひらかれた細い口なら

 器を満たしてやることも かなうのだろうに


 きつくしめられた細い口では

 結んだ一滴を かきあつめても 渇きを(うるお)してはやれない


 ぴちゃん


 ゆるめる指の(おとず)れを待ち焦がれて

 一滴を結びつづけるのも

 ゆるめる指の(おとず)れを(あきら)めて

 一滴を結びつづけるのも


 (しずく)を絶やさぬために

 細い口が(つむ)いだ祈り

 細い口が重ねた願い

 細い口が(つの)らせた望み


 ぴちゃん


 細い口が 一滴を結ぶのをやめてしまうまえに

 どうか ゆるめる指よ (おとず)れてやってくれ

 細い口が (しずく)を絶やしてしまうまえに

 どうか ゆるめる指よ せめて わずかでも



 あぁ この節くれた指が ゆるめてやれたなら

 あぁ このひび割れた指で ゆるめてやれたなら


 ゆるめてやれたならなぁ



 ぴちゃん



 せめて わずかでも

 私は、その指にはなれません。

 我ながら、この卑怯な傍観者め!

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― 新着の感想 ―
[一言] 蛇口から滴る水滴と祈り・願い・望みを関連付けて描くのがとても素敵だと思いました。 その蛇口の助けになりたいと思いつつも、力になれないことにもどかしさを感じる語り手。 たとえ何もできなくても、…
[一言]  蛇口から、一滴、また一滴と。  …どうしてこんなに切ない言葉たちになるのかが不思議でなりません。  集め結ぶ一滴。それを努力と呼ぶならば。  たとえ見守ることしかできなくても、認める…
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