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75.お宝探し

「いやー、それにしても王都はいいところですねえ。人がたくさんで賑やかで、村で生活してた頃からは考えられませんね~」


「本当、ちょっと見ただけなのに情報量がサンバルテとは桁違い。お姉ちゃんも連れてきたかったわ」


「……で、お前らはなんで俺の部屋にいるんだ」


 翌日。俺の部屋でくつろぐ二人を見て冷静にツッコんだ。

 宿は3部屋取っているはずなのに、打ち合わせしたわけでもないの気づけば二人がここに来ていた。


「別にいいじゃないですか、次の会議まで時間もありますし、皆でこうやってゆったりするのも悪くないじゃないですか」


「それに、アンタのことだから何か面白いことを考えてるんでしょう?」


 リーリアが訳知り顔で好戦的な笑みを浮かべた。どうやらお見通しのようだ。


 昨晩、日課のクエスト探しをしていたら気になるものを見つけたのだ。


――


『重要な情報』 ★★★


【概要】

ギルドにいる情報屋の男に提示されたクエストをクリアする。


【報酬】

・レアアイテム1点


――


「『ギルドにいる情報屋の男』って……もしかしてこの前の?」


 ティナは察したようだ。そう、俺が気になっていたのはそこだ。


 俺たちにパレードの護衛を教えてくれた情報屋の男。彼が渡してくれた情報は確かなものだった。

 そんな彼が関わるクエストで、タイトルが『重要な情報』だ。こんなの見逃すわけにはいかないだろう。


「でも、報酬のレアアイテムって何かしらね。難易度が3だし、それに見合った物だと思うけど……」


「もしかして、情報屋さんが資産家で、レアアイテムを譲ってくれるとかですかね!?」


 うーん、資産家は情報屋なんて危険な仕事に就かないと思うけどな……。


 何にせよ、実際に話してみないとわからない。ギルドに行ってみよう。



 ギルドに到着し、周囲を見回すと、目当ての人物は前と同じ場所に佇んでいた。


「そんなに人間観察は楽しいか?」


「ああ、楽しいね。……って、なんだ。この前の冒険者さんか」


 情報屋は俺のことを覚えていたらしく、落ち着いた笑みを浮かべてこちらを見据えた。


「で、パレードの護衛試験はどうだった? ……と言っても、結果はもう耳に入ってるがな」


 この人、どれだけ耳が早いんだ? もはやこれから話すことも把握されているのではないかと勘繰ってしまう。


「合格したよ。おかげでね」


「まあ、あんたならそうだろうな。あんたは俺がこれまで見た中で、最も才能を感じさせる冒険者だ。そう、だからこそ世話を焼きたくなっちまう……」


 情報屋は手に持ったグラスを口元に当てると、琥珀色の酒を喉に流し込んで息を漏らした。

 男の視線は俺を見ているようでもあり、周囲の冒険者を眺めているようでもある。掴みどころがない。


「俺は人の『流れ』を見るのが好きだ。隆盛、そして衰退……人と人は関わり合いの中で水流が生まれる。そして、流れを見続けていると次第にこれから先の未来の流れも見えてくる」


「つまりどういうことだ?」


「あんたに試験のことを話したのは俺だ。半分俺の責任みたいなものだ。だから、一つ教えておきたいことがある」


「もちろんタダでってわけじゃないんだろ?」


「話が早くて助かる。俺は楽しませてもらえればそれでいい。そこでだ、俺から一つ条件を提示させてもらう」


 そう言って情報屋の男が切り出してきたのは――、


「『英雄の墓場』を攻略してみろ」


 全く聞いたことのない単語だった。


「英雄の墓場はこの王都から北に30分歩いた先にある洞窟だ。中はダンジョンに近いが、大きく違うのは最深部にミノタウロスがいることだ」


「ミノタウロスって……あの!?」


「ああ、それもかなり強い。多くの力自慢たちが奴に挑んだが、倒すことが出来た者は一人もいなかった。そして、その洞窟はいつしかこう呼ばれるようになった。英雄の墓場とな」


 すごいな、ミノタウロスなんて物語でしか聞いたことがない。一体どれだけ強いんだ……!?


 体長は2メートル……いや、3メートルは優に超えるはずだ。牛頭人身の怪物。

 圧倒的な巨躯から放たれる一撃。想像するだけで身震いしそうだ。


「そして朗報がある。その冒険者の墓場には、今まで破れた猛者たちの装備品が残っている」


「アスラさん! レアアイテムってもしかして……!」


 きっとそうだ。ミノタウロスを倒した暁には、洞窟にあるレアアイテムが手に入るというわけだ。

 俄然やる気が出てきた。今すぐにでも行きたい。


「ぜひやらせてく――」


「その話、ちょっと噛ませてもらおうじゃねえか」


 快く承諾しようとしたとき、誰かが俺の肩を掴んで割ってきた。


 ギルドには荒くれた冒険者が多い。今日もどうせそんなことだろうと、声の主の顔を見ると――、

 それは知っている人物だった。


「あんたは――スカーレットアマゾネス!?」


 俺の肩を掴んでいるのは褐色の女戦士・マチルダだった。

 真っ赤な髪をポニーテールにして束ねている彼女は、俺の顔を睨むように一瞥する。


「お前は確か――ベルグのところにいた奴か。まあどうでもいい、英雄の墓場にオレたちも連れていけ」

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