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58.ランクアップの真価

「ところで、アスラさん! 私、<ランクアップ>の面白い使い方を思いつきました!」


 昨日、エーテルを作った後。ティナは自信たっぷりにとんでもないことを言いだした。

 思えば、あれが俺の飛躍的な成長のきっかけとなる金言だった。やはりティナは持っている(・・・・・)人間だ。


「ランクアップの対象に、アスラさんのスキルを取るんです!」


 スキルをランクアップさせるというものだった。


「え……ランクアップできるのは物質だけじゃないってこと!?」


「私も確証はないですけど……それが出来たらいいのになって思ったんです」


「やってみる価値はありそうだな」


 最初にランクアップさせようと思ったのは、<隠しクエスト>だ。やはり俺の中で最も重要なものといえばこれだろう。


「行くぞ……<ランクアップ>発動! 対象は<隠しクエスト>!」


――


 <隠しクエスト>がランクアップしました。

 機能を一部、解放します。


――


「来た!」


 ティナの予想は当たっていた。ランクアップは、触れることが出来るアイテムに限らず、スキルも対象に取ることが出来るようだ。


「それで、何が出来るようになったの?」


「よし、ウィンドウを見てみよう」


 俺たちはウィンドウ囲むと、何が変わったのかを目で探し始めた。

 一番に変化に気づいたのはリーリアだった。


「見て! ここに『スキル一覧』っていうのが増えてる!」


 言われた通り、クエストのタイトルが並んでいる右上に『スキル一覧』と書かれた長方形があった。

 俺はおそるおそる、それをタッチしてみる。


――


所持スキル一覧


<隠しクエスト>……半径100キロメートル以内の範囲で起こる事件を予測し、クエストにする。所持しているスキルを表示する。

<疾風怒涛>……自身の身体能力を50%上昇させる。反動で体力が5%消費する(効果時間:5分20秒)。

<自動防御(オートガード)>……自分の身体能力の75%以下の相手の攻撃を完全に防ぐ。

<合成>……物質を構成する素材を合成し、アイテムを作成することができる。

<無色一閃>……強力な一撃を放つ。反動で体力を45%消費する。

<ランクアップ>……アイテム・スキルを一段階ランクアップさせる。


――


 おお、スキルが一覧で見られるようになった! 今までは新しいスキルを手に入れても能力が分からなくて不便だったんだ。


「アスラさん! 他のスキルも進化させてみましょうよ!」


 そう。本番はまだまだここからだ。<ランクアップ>は全てのスキルを進化させることが出来る。


「それにしても、スキルが進化するなんて初めて聞いた……」


 俺もまさかこうなるとは思わなかった。スキルは発現するだけでもかなり低確率であるため、事例がかなり少ない。

 スキルが進化するなんて言えば、笑い話だろう。



「あっはっはっはっは! はあ、腹痛ぇ!!」


 ――そして現在。俺は笑われていた。


「お前馬鹿じゃねえのか!? 嘘を吐くならもっとマシなこと言えよ! スキルが進化するわけねえって!」


 本当のことなんだけどな……。

 俺はいわれのないそしりをうけながら、改めてスキルを確認する。


――


所持スキル一覧


<隠しクエスト>……半径100キロメートル以内の範囲で起こる事件を予測し、クエストにする。所持しているスキルを表示する。

<疾風怒涛翔>……自身の身体能力を100%上昇させる。反動で体力が5%消費する(効果時間:5分20秒)。

<絶対障壁>……自分の身体能力の80%以下の相手の攻撃を完全に防ぐ障壁を張る。最大4人まで効果の対象に出来る。

<超合成>……物質・概念を構成する素材を合成し、アイテム・スキルを作成することができる。

<無色一閃>……強力な一撃を放つ。反動で体力を30%消費する。

<ランクアップ>……アイテム・スキルを一段階ランクアップさせる。


――


 ランクアップさせることで、スキルがこれだけ強くなった。さっき攻撃を弾いたのは<絶対障壁>の効果だ。

 これにより、もはやノックバックもされなくなった。俺が許可したもの以外は何人も通さない絶対のバリアだ。


「お前らは俺に触れることすらできない。このまま残りの20分、俺はお前らの攻撃をしのぎ続けて消化試合だ。だから俺はお前らに攻撃はしない。そして反則にもならない」


「くそっ……スキルの進化の話は眉唾だが、厄介なのには変わりねえな!」


「任せろ。そんな防御、俺が打ち破ってやる」


 ロンバルドが前に出る。奴は大剣を握りしめると、思い切り振り上げた。


「うおおおおおおおおおお!!」


 獣のような咆哮。そして次の瞬間、全身全霊の一撃を放った。


「<超絶無双バスターソード>!!」


 センスの欠片も感じない技名と共に、斬撃が地を裂いて襲い来る。

 まるでサメが水面から背びれを出して接近してきているような衝撃波が迫ってくる。


 しかし、その波が<絶対障壁>を超えることはない。吸い込まれた衝撃はあっという間に凪いでしまった。


「……それがお前の最高火力だな。これでわかっただろ、何をやっても無駄だって」


「クソッ!」


 ロンバルドが悔しそうに吠える。だが、次の瞬間奴の表情が変わった。


「だったら……これはどうかな?」

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― 新着の感想 ―
[一言] なんかみんなスキル自慢してる感じ。
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