表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/78

25.新たな目標

「ーーなるほど。要するに、<隠しクエスト>の能力で運命の糸(スレッド)>の名前がないかを探して欲しいってことか」


「その理解で問題ない。運命の糸(スレッド)は決まった場所に本拠地を構えず、会員もわからないため、普通の方法で探しても見つからないんだ」


 運命の糸(スレッド)という名前は聞いたことがないが、彼女の口ぶりから恐ろしい相手であることは伝わってくる。


「……あった! これじゃないか!?」


 俺がウィンドウを指すと、ティナがそれを覗き込む。


「これが件のウィンドウか……確かに半透明だ」


 シャロンも仲間という判定になったため、ウィンドウが見えるようになったようだ。つんつんと触れると、彼女の指がすり抜ける。


――


『糸を断ち切れ』 ★★★


【概要】


【報酬】


【条件】

このクエストは、『共同攻略』をクリアした場合に表示されます。


――


 このクエストのタイトルになっている『糸』は、運命の糸(スレッド)のことを意味しているんじゃないだろうか。


「……どうかな? こじつけがましいとは思うんだけどさ」


「いいや、そうでもない。このクエスト、難易度がかなり高い。運命の糸(スレッド)が関わっていたとしてもおかしくない」


「でも、クエストの内容が伏せられててよくわからないですね……あ、この条件になってるクエストのところをタッチしてみるのはどうでしょう?」


 ティナに言われた通り、俺はウィンドウの『共同攻略』の部分に触れてみる。すると、カチッという感触とともに、文字が変化した。


――


『共同攻略』 ★★


【概要】


【報酬】


【条件】

このクエストは、『袋小路の少女』をクリアした場合に表示されます。


――


「うわー! またクリアしないといけないクエストが増えました!」


 だが、これでさらに『糸を断ち切れ』が重要なクエストであることの裏付けになった。やはりシャロンがさがしている組織の足跡はこのクエストにある気がする。


 ――でも、さすがにそろそろ最後のクエストにして欲しい! と、俺は祈るような気持ちで『袋小路の少女』の文字を触る。


――


『袋小路の少女』 ★★


【概要】

サンバルテ西のダンジョン10層にいる少女を助ければ達成。


【報酬】

・経験値30

・スキル<合成>


――


 どうやら、祈りは通じたようだ。このクエストを含めて、2つのクエストをクリアすれば運命の糸(スレッド)への手がかりが得られる――かもしれない。


「とりあえずこのクエストをクリアすることからスタートのようだが……またスキルが報酬になっているのか? 君はどれだけ強くなるんだ……」


「あー! また女の子が出てきますよ! アスラさんは女の子ばかり助けてます! 色んな女の人に手を出すのはよくないっておじいちゃんが言ってましたよ!」


 二人は思い思いのことで騒いだ後、ジトッとした目でこちらを見てくる。


 勘弁してくれ。俺が自分でそうしたくてそうしてるわけじゃないんだぞ。これは不可抗力ってやつだ。


「でも、10層ですか……この前アスラさんが戦ったブラッディボアは5層のモンスターなんですよね?」


「それだけではない。5層からはモンスターの強さや攻略の難易度もぐんと上がる。一筋縄ではいかないだろう」


 二人がうーん、と唸った後、ティナがつぶやく。


「……ところで、アスラさんって今どれくらいの実力があるんでしょう?」


 それは俺も気になっているところだ。

 3年もゴブリン退治で停滞していたというのに、ここ最近の成長は目まぐるしい。特にスキルを手に入れてからは1日単位で強さが大きく変わるため、自分の実力が測れずにいた。


 今、自分が本気を出したらどれくらいの層まで辿り着くことができるんだろう。冒険者として知ってみたい。今まで戦えなかったモンスターと会えると思うとゾクゾクする。


「アスラ、顔がニヤニヤしてるぞ」


 ――おっと。考えが先走り過ぎたようだ。


「そういえば、そのクエストは制限時間があるんでしょうか? ないのであれば、ちょっと準備をしてから行ってみてもいいかもしれませんね!」


 ティナに言われて、俺はウィンドウをクエスト一覧に戻す。


「えーっと、『袋小路の少女』は……」


「どうした、急に固まって?」


「――あと1時間だ」


「「ええっ!?」」


 マズい。これはおちおち準備なんかしてられない。急がないと間に合わないかもしれないぞ!


 これを逃せばせっかく掴みかけた運命の糸(スレッド)の影を逃してしまうかもしれない。なんとしても、今すぐ10層に行かないと!


「ティナ、背中に乗ってくれ!」


「わ、わかりました!」


「<疾風怒濤>!!」


 俺はティナを背負うと、全速力でダンジョンに向かって走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「これを逃せばせっかく掴みかけた運命の糸スレッドの影を逃してしまうかもしれない。なんとしても、今すぐ10層に行かないと!」 危機に陥っている女性は助けた方が良いでしょうが、運命の糸スレッド…
[気になる点] クエスト名は『袋小路の少女』なのか『がんじがらめの少女』なのか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ