表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【未完】タマショックから始まったダンジョンの存在する現代生活  作者: 工具
02_自主的縛り人生でハクスラな遠征するよ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/68

02-19

 ≪[電母(でんぼ)]の【クラダリング】≫のよく分からない圧力に関しては、ある程度のことが翌日の内に判明した。

 端的にまとめると、魔素の濃い場所で不敬を働くとものっすごい恐ろしい圧に襲われる。


 まず分かりやすい変化として、≪果てへと至る修錬道≫のエントランスホールに入っただけでタダモノじゃない雰囲気を纏うようになった。外との違いはダンジョンの中ということか魔素の濃淡かなとアタリを付けて、ダンジョンの外で魔素の濃い空間を再現したら雰囲気が変わったのでたぶん大事なのは魔素濃度だろう。


 次に中の人を怒らせるようなことしたら祟られたりするのかなと思い付き、そうだとしたら例えば壁に投げつけてみたらどうなるか悩み始めたところで粗相をしてしまいそうなほどの恐怖と悪寒に襲われた。

 馬鹿な悪戯はやめなさいって程度のお叱りだったんだと受け止めた。反省した。ついでに、手が震えていると修練するのは危ないので、その日は家に帰って大人しくしていました。


 逆にしっかりと敬意を払って扱うなら、魔具として使ったり魔術の触媒として使ったりしなくてもご利益をくれる……かもしれない。これは変な実験をしようとした僕とは違い、祀るための祭壇を整えたり寝る前にきれいに磨いていた果恵(かえ)がそれっぽい経験をしたと翌日の朝に教えてもらった。


 僕が恐れ知らずな実験をしようか考えたせいでお叱りを受けて心身を消耗していたころ、果恵(かえ)は繁華街に居たそうだ。

 目的の物はさくっと買ってしまい知り合いの店員さんに配達を頼んだ後、どうせだからとあちこちの店を見て回っていた時に“嫌な感じの人”を見かけたそうだ。その“嫌な感じ”は今までにない感覚だったので相手に気づかれないよう観察すると、学校で噂になっていた犯罪者予備軍の危ない先輩だと気づく。しかも窃盗の瞬間を目撃してしまった。

 急ぎその場を離れて匿名の通報。更にさっさと帰宅したことで果恵(かえ)がトラブルに巻き込まれることはなかったが、その先輩が逮捕される際に抵抗したことで結構な騒ぎになったそうだ。

 この件で果恵(かえ)の感じた“嫌な感じ”が≪[電母(でんぼ)]の【クラダリング】≫に由来するなら、 §それは罪人を暴く§ とか §それは罰を下す§ 辺りが関わっていそう。


 結論。馬鹿な実験とかはせずまともに扱えば、心強い味方となってくれるでしょう。


 ≪[電母(でんぼ)]の【クラダリング】≫を身に着けたまま悪いことしたらその場で天罰食らいそうだが、そんな予定はないのでなにも問題ない。その場合の悪いことってのが日本の法律に反するいわゆる犯罪行為なのか、神様ルールでアウトな行為なのか分からないのがリスクと言えばリスクだ。それにしたって昨日のおしっこ漏らしかけたお叱りみたいな注意はしてくれそうなので大丈夫でしょ。ヨシ。

 なにより本当に危ないものならそれとなく愛染(あいぜん)に没収されそうだし、僕が持ってても良いってことは扱いに気を付ければ十分ってことだ。メイビー。




 次の遠征開始日を確定させないまま≪[電母(でんぼ)]の【クラダリング】≫の確認で丸っと一日使ってしまったが、余裕はあるはずなのでかまわないだろう。

 三月二日の始業式に備えその二日前には家に居た方が良いという果恵(かえ)の助言を受けて、そこから一週間の遠征を逆算して出発は二月二十二日土曜日に決定。つまり準備にも今日を含めて一週間を充てられる。昨日一日寝て過ごしたくらいダイジョブダイジョブ。


 朝食を摂りつつ果恵(かえ)の前日の話を聞き終えたら、一度自室に戻って≪[無尽]の【魔本】≫を取り出した。

 まずは次の遠征までの準備期間で何をすべきか優先順位をつけてリスト化しようと思ったものの、魔本を開いて驚いた。メモが記憶の倍くらいある。


 [箱段]の中身をそのまま取り出せないかを確認する。

 電子レンジみたいな魔術が欲しい。

 [封入弾]に<呪術>を込めた時、どういうプロセスで<呪術>がかかるかの確認。

 魔器なしでの魔術の練習。

 マッサージみたいな疲労を持ち越さないための魔術が欲しい。

 [造水]と[喞筒(そくとう)]の組み合わせて一つにしてみる。

 [貫通弾]と[炸裂弾]を混ぜた魔術を作る。

 戦闘中に武器を持ち替えられないか考える。

 ダンジョンダイブ用靴下とアンダーウェアの魔具化。

 主砲的な一発がでかい魔術を用意する。


 優先順位で言えば、最後二つから手を付ける。他のは時間がかかるか、急ぎって程でもない。


 ダンジョンダイブ用靴下とアンダーウェアの魔具化。

 これは今使ってる装備一式を間に合わせで魔具化した時に、そこまでしなくていいかなと思ってそのまま忘れてただけだ。魔具化すれば頑丈になるんだし今思えばしない理由はない。


 主砲的な一発がでかい魔術を用意する。

 威力のある魔術を使えれば、レベル三≪武装人形≫を魔術だけで(たお)せる。そうすれば魔術を僕の魂に刻めるし、同時に僕の魂が成長すれば魔術の魂象(こんしょう)を得るのはぐっと早くなるはず。

 できるだけ色んな種類の魔術を組み合わせてコンボみたいな一撃にしたい。トレーディングカードゲームでソリティアする感じ。

 ≪[電母(でんぼ)]の【クラダリング】≫頼りではあるが、なんとなくのイメージはできてる。それに必要な魔術でアンダーウェアとか魔具化しよう。


 そうだ。荷物を持ち運ぶのに良さげな魔具があった気がする。[箱段]と比較して使い勝手の良い方を普段使いにして、もう片方は愛染(あいぜん)に渡そう。

 そうなるとアンダーウェアとかの魔具化は、[箱段]の件や武器を持ち替える練習の後になる。リスト書き直さないとな。

≪[電母(でんぼ)]の【クラダリング】≫

§それはクラダリングである§

§それは神である§

§それは女性である§

§それは雲を起こす§

§それは雨を降らせる§

§それは雷を生む§

§それは罪人を暴く§

§それは罰を下す§

§それは正体を暴く§


≪[無尽]の【魔本】≫

§それは魔本である§

§それは尽きることが無い§


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ