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【未完】タマショックから始まったダンジョンの存在する現代生活  作者: 工具
02_自主的縛り人生でハクスラな遠征するよ

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02-04

 初めて見た≪武装人形≫だったけど、結果だけを言えば師匠達と同程度のつもりでやったのはちょっと過剰だった。次からはもう少し適度な感じに相対できると思う。

 冷静になった頭で判断するなら月一でやってる初心に返るスタイルでも時間さえかければ壊せる範疇だろうし、いつもの探索ペースなら連戦も無理はなさそうだった。


 ≪武装人形≫が残したブーケっぽい造花の塊を拾って[箱段]にしまう。

 [箱段]は注ぎ込んだ魔素の量だけ大きくなってその分収納できるけど、中に入れたもの相応の大きさを毎度展開しなくちゃいけないのがちょっと、ほんの少し、心持ち不便だ。

 大荷物抱えなくていいっていうメリットが大きすぎる分、そのちょっとしたところが気にかかってしまう。一ドットなんて普段は気にしないのに、画面のど真ん中でドット落ちするとめっちゃ気になるのと同じ。


 ≪[鎧櫃(よろいびつ)]の【紋章】≫が異空間的なアレで出し入れできるのが便利すぎて……なんで[鎧櫃(よろいびつ)]は(ひつ)そのものを構築しないんだろうか。


 なんか結構大事っぽい事実に気づいてしまったので近場の小部屋に入って休憩がてら考えてみることにした。

 体力的には対して消耗していなくとも、人間でいうレベルアップしたみたいな≪武装人形≫との一戦は無視できない程度に精神的な消耗をしたと自覚がある。


 ついさっき解除した[箱段]を発動して休憩セットを取り出し、ボトルからお茶を一口。なんかほっとして唐突に疑問の答えが出てきた。


 ついさっき振り回してた≪[金剛][惨刑]の【槍】≫の[金剛]や、一時期上手くいかなくて僕の頭の中を占拠していた≪[鑽鉄(さんてつ)][肢骨][骨身]の【上腕部プロテクター】≫の三つの魔術だって<生成>系と対象指定のどちらにも使えるんだし、[箱段]だって箱段を<生成>するだけなわけがない。


 [箱段]で<生成>した箱段の中に収納したものを魔術の解除と同時に一度魔素に<還元>して、次に魔術を発動した際に再構成している辺りもっと応用が効くはずだ。

 これは僕の視野が狭かったり先入観に邪魔されていたり、悪い例の典型だと漸く気づいた。


 今解決した疑問やその答え、答えに至るまでの思考を≪[無尽]の【魔本】≫に書き込み再びお茶を一口。


 ……≪[無尽]の【魔本】≫の[無尽]だってこれ魔本そのものに限らず他の物も対象に魔術を使えるんじゃないだろうか。

 前に魔術式を確認した時は意識してない先入観が介在してた所為で魔術の対象が魔本に固定されてた可能性がある。


 その辺を念頭に置いて魔術式を展開してみたら、前に確認した時は定数化されていた魔術の対象を指定する部分が凄まじい規模になっている。それに伴い術式のあっちこっちが煩雑化していた。

 ああ、うん。応用が効かせられそうだと分かったので今はもうそれだけでいい。


 他に新しい視点での魔術の発動にすぐ試せそうなのは、遠征を始めてからすっかりお気に入りの≪[錯行(さっこう)]の【下腿部プロテクター】≫だろうか。

 [錯行]はいつも敵を対象にしていたところを自分を対象にしてみるのはどうだろう。『僕を目指す“≪武装人形≫が”斜めに走る』んじゃなく、『“僕を目指すと”斜めに走らざるを得ない』みたいなことにならないだろうか。

 休憩終えた後に試してみよう。まだそのくらいを試す余裕はある。


 区切りがついたのでお茶とお菓子で頭もしっかり休めたあと、≪[無尽]の【魔本】≫にメモした内容を見直して荒いところを修正したら休憩を切り上げる。

 小部屋の中に忘れ物がないのを確かめたうえで出発。


 奥へ進む方向で一番近い≪武装人形≫の方へ向かう途中、[錯行]を自分にかけたら自分が斜めに進むことになるのか試すと、まっすぐ歩いているつもりでもしっかり斜めに進んでいた。

 あれこれ試してはみたものの、自分を対象にした場合はどうしても自分も真っ直ぐ進めない。

 次は僕を対象に[錯行]を発動した時に僕へ向かってくる≪武装人形≫がどう動くかだ。


 目星をつけていた≪武装人形≫が見えた。周囲には他に≪武装人形≫も居ない。

 ≪武装人形≫が動き始めるまで近づいたら自分を対象に[錯行]を発動し、足を止めて待ち構える。じっくり観察しつつ迎え撃って手早く破壊。

 まだ試行一回目だ。≪武装人形≫が真っ直ぐ的確に歩けていたのも、まだ気にすることじゃないと自分に言い聞かせる。


 遠征二日目の終わりまでボロイ方の≪武装人形≫と遭遇する度に[錯行]を直接相手に発動しないやり方で活かせないか試行錯誤を続けた。

 結果として、[錯行]の応用は難しいと分かった。まあ試行錯誤なんてそんなもんだ。閃きの方向性は正しくても、それでなんでもかんでも進展するわけじゃない。大丈夫。ぼくはそんなにおちこんでいない。


 正直、≪[無尽]の【魔本】≫の[無尽]はすぐに試せなくても上手くいく見込みがあった分、[錯行]もなんとなくなんか上手いこといくと思ってた。

 先入観には気を付けようと決めた直後に根拠のない期待が外れて凹んで、そんなことで凹んだことに凹む。これが凹みスパイラル。


 締まらないけど遠征二日目終了。

≪[箱段]の【上腿部プロテクター】≫

§それは上腿部プロテクターである§

§それは階段である§

§それは引き出しである§


≪[鎧櫃(よろいびつ)]の【紋章】≫

§それは紋章である§

§それは防具一式を収納できる§


≪[鑽鉄(さんてつ)][肢骨][骨身]の【上腕部プロテクター】≫

§それは上腕部プロテクターである§

§それは鑽鉄である§

§それは四肢の骨である§

§それは骨と肉である§


≪[無尽]の【魔本】≫

§それは魔本である§

§それは尽きることが無い§


≪[錯行(さっこう)]の【下腿部プロテクター】≫

§それは下腿部プロテクターである§

§それは交互にめぐる§

§それは斜めに行く§

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