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【未完】タマショックから始まったダンジョンの存在する現代生活  作者: 工具
01_自主的縛り人生でハクスラ

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01-26

 昨日は疲れてたは疲れてたものの、いつも程ではなかったのでタスクが積みっぱなしになる前に果恵(かえ)への貢物(みつぎもの)を考えることにした。

 帰宅後に愛染(あいぜん)弁柄(べんがら)躑躅(つつじ)に手伝ってもらって、家にあった魔具の内三つまで候補を絞り込む。あとはもう本人に選んでもらおうと思う。なんだったら三つともあげちゃっていいし。




 いつもの時間に登校し、果恵(かえ)と接触できるタイミングを計り続けること数時間。放課後になったので下校だ。


 まあそうなるよね。果恵(かえ)は美人で人当たりも悪くないし、学校の成績は良いし、希少な[気配感知]と医療系魔術持ちでダンジョンダイブでも引っ張りだこだ。

 何この完璧超人って感じなので学校で一人になることは滅多にないらしい。

 他の人と一緒にいるところで声をかけて何コイツって視線向けられるのも嫌だし、声かけた理由が供物(くもつ)いや貢物(みつぎもの)だっていうね。ムリ。


 学校で果恵(かえ)と接触するのはさくっと諦めて帰宅したら、≪果てへと至る修錬道≫で≪特器道(とっきどう)≫の修錬を開始。

 準備運動から始めて体術の型稽古まで終わらせたら、今日は精気を使った[肉体強化]をしつつ太極拳みたいなパッと見たいしたことなさそうな緩やかな動きで体術の型稽古。三十分も経ってないのにしにそう。


「うんうん悪くないよ。そのまま呼吸を乱さすにね。で、この間連れてきた幼馴染ちゃんに詫び入れるためのブツで悩んでいたと」


「はい、そうで、す」


 ≪特器道(とっきどう)≫は喋れるようになったら集中力や呼吸にも別の形で負荷をかけるようになって下さった。話しかけられたら返答しなくちゃいけない。

 “一つに集中しすぎない、でも意識は散らさない”ようになるべく、動いてる時に正しくない刺激を与えられても正しい集中と呼吸を維持するためとのこと。


 理屈は分かるし、実際そうできるようになっていく手ごたえはあるけど呼吸が。呼吸が上手くできなくなる。


「惜しいなあ。君は教えられた一つ一つを上手くやるのは得意でも、自分の閃きで手持ちの二つを組み合わせるのが苦手だよね」


「真似、するの、は、得意、かも、しれません」


 思考を必要とする内容はやめて。精気の、精気の流れが乱れる。


「本当は気づくまで待ってあげるべきなんだろう……でも放っておいたらまた年単位がかかるかも知れないし、それをもったいないって思っちゃうんだよ」


「はぁ」


 文字通り一息吐けたので呼吸と精気を整える。うし。順調に上手くなってる。


「君の成長は素晴らしく勢いがある。遠からず次の段階へと進めるだろう。それに君が身に着けている≪[老化][防止]の【ネックレス】≫があれば元の体質と相まって肉体面の劣化はほぼ無視できる。修錬にかけられる時間の上限など気にする必要はない」


「体、質、です、か」


「そう。君達の言葉だと、“深深度魔素適応者”というんだったかな」


 前に養母(かあ)さんが老化の仕方はまだ分からないって言ってたアレか。師匠の言い方からするに、とりあえず老化は緩やからしい。


「しかし、肉体面での老いを気にしなくて良いとしても、精神面での変化は制御するのが難しい。今は修錬を積み続けようという君の意思が、ふとしたきっかけで別の方向へと向いてしまう前に、より早くより高みへ至って欲しいという……これは人であったころの(わたし)の残滓だね」


「人じゃ、ない」


「ふふ。見ればわかるだろう?」


 呼吸。呼吸が。

 人じゃなかったら呼吸が要らないんだろうか。

 人。呼吸。人体。肺。精気。


「あ、こうか」


 呼吸を上手くできなくてぼやけた頭に閃いたイメージのまま、精気をなんやかんやして呼吸を補助したら驚くほど楽になった。

 あんまり息を吸ってる感じはしないのに運動を続けていても苦しくない。これなら精気の循環の方に意識を割ける分遥かに良い。


「おっと。悩んでいることを独り言のように喋っていたら、それがヒントになってしまったね」


「独り言だったんですか」


「君から答えを貰えると思っていなかった点では、言葉は全て(わたし)自身に向いていたと言える」


「独り言だったんですね」


「はは。それをきっかけに君が一つ歩を進めた以上、ある意味では君は(わたし)の悩みに答えをくれたようなものだよ。では今日はそのまま続けて、感覚を自分のものにしなさい」


 残りは自習みたいな流れになった。

 まあ、今できていることを自分なりに咀嚼して呑み込むなら、その為に必要なのは自分との対話か。師匠の気配はもう感じないので自分の内側に意識を向けよう。


 魔素や精気を扱うにあたって大切なのは理論よりも自分なりの納得だ。

 理論を知らなくとも現に出来ている以上それを知る必要はなくて、僕にとってはこうだという納得を得ることで“できる”という認識が強固になる。たぶん。≪魔術道(まじゅつどう)≫で最初にそう習った記憶がなくもない。


 体内で疲労物質が除去されてるとか精気が酸素に<変換>されているとか肺の機能が精気で強化されたとかあれこれ考えてみたけど、“精気には僕の肉体情報が詰まっているから精気によって肉体を強化することで肉体機能を阻害する要素は排除される”と決めた。ちょっとふわっとしてて僕に都合のいい感じがなんか魔法っぽいしこれで良いよね。


 でも≪果てへと至る修錬道≫で習っているのは魔術だ。魔法と魔術の違いってそういや知らないな。魔術は魔素を操る技術だって最初に習った気がする。そもそも魔法はあるのかな。

≪[老化][防止]の【ネックレス】≫

§それはネックレスである§

§それは時間の経過による機能の低下である§

§それは防ぎ止める§

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