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タマショックから始まったダンジョンの存在する現代生活  作者: 工具
01_自主的縛り人生でハクスラ
13/68

01-12

 授業もしっかり受けつつ愛染(あいぜん)魂象(こんしょう)と言っていた自前で使えるようになった[隠密]の魔術を調べていたら、なんとなく上手く馴染んできた気がする。


 手袋はめて通常モードのタッチパネル使ってたのが、手袋はめて手袋モードでタッチパネル使えるようになったみたいな。素手で通常モードのタッチパネルくらいには習熟したい。

 この説明で≪果てへと至る修錬道≫の師匠たちは理解して納得してくるかな……。


 新しくできるようになったことを他人に伝わる形で言語化できないと、≪魔術道(まじゅつどう)≫の師匠には何度も説明させられたりするしちょっと不安だ。

 ただそういう時は僕が本質を掴めてなかったりそもそも気づいてなかったりするので、そんなことできなくても良いだろうとはとても言えない。


 上手い感じに言語化できていない不安は棚上げして、近いうちに魔術への苦手意識を克服できそうだってところを喜んでおこう。


 僕にとっての魔術というものは、ニュアンスは分かるが字義通りに理解することはできない専門書みたいなものだった。

 そんなふわっとしか分からないものを紙とペンでひたすらこねくり回し実際に使ってみても、なんか違うとかそもそも求めてたものじゃないとか不満だったり失敗に悩まされて当然だ。

 魂象(こんしょう)という形で直感的に扱えるようになったことで、これからはもっと感覚的な理解を伴って自分に合った形に魔術を落とし込めそうだ。

 ……これも上手く言語化出来てないかな。師匠にダメだしされそうだな。




 授業も終わったのでまっすぐ帰宅。

 教室を出るときに果恵(かえ)とすれ違って挨拶したけど、朝と違ってまた睨まれた。朝は余程機嫌がよかったのか、日中に何か嫌なことでもあったのか。


 果恵(かえ)の機嫌はさておき。

 昨日は養母(かあ)さんが最近の僕はどうしているのかと果恵(かえ)()いたとのことなので、美味しい物でも持って久しぶりに養母(かあ)さんに顔を見せに行こう……って先週も考えてた気がする。


 帰ったら愛染(あいぜん)に任せればまた忘れても安心だ。

 今週の土曜日は≪魔術道(まじゅつどう)≫の日と予定を決めているので日曜日にでも僕の予定を入れておいてもらおう。

 今週の≪実践道(じっせんどう)≫はお預けかー。その分それぞれの武器種の修錬を普段よりしっかりしよう。


 まっすぐ帰宅したら手早く着替えてまっすぐ≪果てへと至る修錬道≫へ向かう。

 今日は≪特器道(とっきどう)≫の日だ。週末に丁度ロープの魔具を拾ってたな。武器に使えないか師匠に()いてみよう。


 いつもと同じようにこれまたまっすぐ≪果てへと至る修錬道≫のエントランスホールを突っ切ろうとしたら、エントランスホールに踏み込んですぐ、強くはないのに意識を引かれる光が背後の高いところから射すのを感じた。


 数年前、≪長柄道(ながえどう)≫の師匠に基礎を修めたと認められた帰りに一度だけ見た、≪[開示]の【神壇(しんだん)】≫を使えるようになった時と同じものだ。

 急いで入口脇の階段を駆け上がる。


 ダンジョンが呑み込んだ蔵は入口の上が突き出したりしていないので物理的には存在しないロフト状のそこ、今まで名前すらわからなかった右側三つの【神壇(しんだん)】の内左端、全体では左から二番目の【神壇(しんだん)】が光っていた。


 つい一昨日の土曜日に何か進展ないかなーとか考えてた【神壇(しんだん)】関係に早速何かあった。

 何かあったっていうか≪[開示]の【神壇(しんだん)】≫と同じならこれ多分使えるようになったんだよね。


 急な出来事に上手く頭が回らずぼんやりしていたら【神壇(しんだん)】が発光をやめていた。

 さっきまでの発光が≪[開示]の【神壇(しんだん)】≫が光ったのと同じ理由なら、この左から二番目の【神壇(しんだん)】も触れば使えるはず。触って大丈夫だよね。


 恐る恐る触ろうとして、ふと今日は【神壇(しんだん)】に一礼していないと気付いて慌てて一礼。

 別に師匠達にそうしろって言われたわけでもない。名称に神の字があるなんかすごい物だし神棚みたいな感じで敬ってる方が良いよねというだけの、恐らく日本人らしい信仰心みたいなものが僕の中にも一応あるが故の行動だ。天罰とか受けてないのできっと間違ってはいない。本当は正しく扱うための手引書とか欲しい。


 ぺたっと右手を左から二番目の【神壇(しんだん)】に触れさせる。何もない。

 そうか。≪[開示]の【神壇(しんだん)】≫じゃないからこれが何かわかんないのか。

 えぇ……。≪[開示]の【神壇(しんだん)】≫に乗せられないしどうしよ。


≪[開示]の【神壇(しんだん)】≫

§それは神に近づく場所§

§それは明らかにして示す§


≪[融合]の【神壇(しんだん)】≫

§それは神に近づく場所§

§それは溶かし合わせ一つにする§


 右手で光ってた【神壇(しんだん)】に触れたまま、特に意味もなく左手を≪[開示]の【神壇(しんだん)】≫に触れさせたら【神壇(しんだん)】二つがどういった物かがわかった。

 ≪[開示]の【神壇(しんだん)】≫がなんとかしてくれた。すげー。

 でもこれ先々で残り二つの【神壇(しんだん)】はどうすればいいんだろうか。その時考えれば良いか。実際に使えるようになるかはわからない物だ。


 今は≪[融合]の【神壇(しんだん)】≫について調べるのを優先すべきか≪特器道(とっきどう)≫での修錬をすべきかが悩ましい。

 いや、別に悩ましくないな。≪[融合]の【神壇(しんだん)】≫は急ぐ必要がない。逆に予定していた修錬を先送りにするとその分成長は停滞してさらには一日分の遅れは後退でもある。さっさと≪特器道(とっきどう)≫で修錬しようっと。

≪[開示]の【神壇(しんだん)】≫

§それは神に近づく場所§

§それは明らかにして示す§


≪[融合]の【神壇(しんだん)】≫

§それは神に近づく場所§

§それは溶かし合わせ一つにする§

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