第4話 訓練
一時間目の授業が終わり、二時間目が始まろうとしていた。
二時間目は、射撃練習らしい。
射撃練習場に集合になっている為、全員が一斉に移動した。
練習場に着くと、一人の教師が立っていた。
「私は、陸上自衛隊。特殊作戦郡所属の木場だ。今日から君達の射撃の教官になった。よろしく頼む。」
「特殊作戦郡って....。」
軽く呟くと、拓斗が入って来た。
「うん、陸自で正式に認められた特殊部隊だよ。」
「じゅあただ者じゃない事は確かだな・・・。」
「私は、めんどくさい事は嫌いなんだ。全員それぞれのレーンに入ってくれ」
周りにそう指示する。
言われてそれぞれレーンに入る。
レーンには、台が設置している。その上には、拳銃が置かれている。
「君達の目の前にある拳銃は、陸自で制式採用されている9mm拳銃だ。さぁ、全員構えてみろ」
言われるがまま構えてみる・・・。
思ったより照準を合わせるのって難しいんだな・・・。
「入っている弾は全て打ち切って良い。じゃあセーフティー解除して、撃ってみろ」
その言葉の数秒後全員が、一斉に発砲した。
30秒ちょっとで、全員が全ての弾を打ち切った。
すると・・・。
「ん~・・・君の名前は?」
「響。・・・露白 響。」
響の名前を聞くと、こう言った。
「小銃も撃ってみろ」
そう言い、小銃を渡した。
『HK416。H&K社によって、M4カービンが独自改良された銃。』
響は、その小銃を受け取り構える。
そして、撃つ―――。
身体の芯に響くような銃声が、練習場に鳴り響く。
撃たれた的を見てみると、バッチリ中心を撃ち抜いている。
5mmほどずれた弾の痕もある。
これを見て言えるのは・・・。
「これまでに正確な射撃・・・。良いだろう。3年に上がったら、特殊課への推薦をしてやる」
ん?特殊課・・・?何のことだ・・・?
「あの、特殊課って何の事ですか?」
俺は、咄嗟に口を開いてしまう。
「聞いてないか?まぁいい。説明してやる。」
「お前は、ここを出たらどうなると思う?」
「えぇと・・・」
「基本的には、国防軍に入る事になっている。だが、その中の特別優秀な人材だけを集めて、部隊をつくっている。その名を、0群と呼ぶ。」
「なるほど。分かりました。ありがとうございます」
そんな話聞いてないんだが・・・。
後で、陸岡さんを問い詰めてやろうか・・・。
「途切れたが、授業を続ける」
そして、しばらく授業は続いた。
「疲れた~。反動のせいで、腕が痛い」
「まぁね。自分も腕が痛いよ。それにしても、響ちゃんはあんなに射撃の腕があったなんて・・・。」
場面は変わり、授業終了後。
一斉に授業を終えたC組の生徒達が出る。
拓斗や響と並んで、話していると・・・。
「悠十くん、ちょっと良いかな?」
陸岡さんがこっちに歩いてきて、声を掛けて来る。
「はい、まぁ・・・良いですけど」
返事をして足を進める。
「特別な講師を付けると言っていたろ?その講師の人が来たんだ」
「特別な講師とは、言っても何の講師の人なんですか?」
「魔術・・・」
「・・・!?」
魔術・・・?アニメや漫画なんかで見るあの魔術か?
「嘘だと思うかい?それなら、君の目で確かめてみるといい」
しばらく歩くと、地下に進む階段を見つける。
「地下・・・?」
「見つかりにくい様にだよ」
地下へ進む階段を降りていくと・・・。
「さぁ、ここだよ」
扉を開け、中に入る。
その中で、待っていた人物は。
「彼女だよ。特別な講師というのは」
「はじめまして。高木悠十くん」
暗い部屋の中で、少しのろうそくに照らされ光る赤いその眼は、不気味に見えた。