第1話 説明
俺は、驚愕した。自衛隊の基地の敷地に学校が建てられている事に・・・。
「この国立軍事育成機関学校は、自衛隊の基地に併設して建てられた。ある私立高校が、財政難によって廃校になる際に学校法人を買い取り、移転したんだ。」
「国でなら、新たに学校を新設するくらいできたのでは?」
「色々な手続きやらがめんどくさくてね。」
まぁ確かに政治やらの問題もあるのだろう。基本的に平和憲法によって、武力の行使が禁じられているはずの日本。ましてや学生を軍事教育するなんてな・・・。
「どうしてこんな学校が認められてるんですか?」
「認められないよ。でも、日本じゃないなら話は別だ。」
「この学校は、アメリカとの協力で成り立っているんだ。」
そんな取引が、アメリカと行われていたとはな。日本じゃないのなら、学校も運用も問題ないというわけか。
「問題ないにしても、ここの生徒たちは・・・」
「あぁここの生徒についても話しておかないとね。この学校に在籍している生徒の半数は、身寄りが無かった子達だよ。」
「外国人も見てみるといるのですが」
「アメリカ協力のもと、他国からも人員募集をしたんだ。簡単に言うと、スカウトみたいなものだね。」
他国から優秀な人材を集めて、教育し、精鋭を育てる。軍事学校としては、理想的だな。
そして、しばらく俺は黒服との会話をしながら歩いていた。そのお陰で、目的の部屋に着いたらしい。
「さぁ、ここだよ。入ってくれ。」
入ってくれと言われたその部屋のドアに書いてあったのは、理事長室。
「そこに掛けてくれていいよ。」
言われた通り黒色のソファにすわる。意外と座り心地はいいな。
「あなたは何者なんですか?」
「自己紹介が遅れたね。私は、この学校の理事長をしている。
そして、防衛省 陸上自衛隊所属一等陸尉 陸岡 蒼馬」
「なんでそんな人が、俺をこんな所につれてきたんですか?」
ここに来て、一番聞きたかった事だ。どうして連れて来られたか。そもそも引きこもりの俺が、何が出来るのか。
「それは、君の過去に関係している。詳しくは話せない。」
「俺の過去・・・?」
今まで気にした事のなかった自分の過去・・・。
まさかこんな所で、そんな言葉を聞く事になるとは思わなかった。
知りたいはずなのに、知りたくない。自分の記憶、過去を知る事になるのが、恐いなんてな・・・。
「分かりました。今は聞きません。」
「君が知りたくなくても、いづれ知る事になると私は思うよ。」
「その時は、構わない。でも、俺は今を生きる。今そう決めた。」
「そうか。では、話を変えよう。ここに来た以上、拒否権はないんだ。」
ここが、今の世間にばれたらめんどくさい事になる。それぐらいの想像は簡単に出来る。
「まぁ戻れないことぐらいわかってた。」
「話が早くて、助かるよ。じゃあ早速これを渡そう。」
そういうと、小包を渡してきた。開けると、中身は制服やら学生手帳が入っていた。
これが、ここでの一般的な服装になるのか。
「それでは、次にこの学校のことを話そう。よく聞くように。」