8 女の子耐性ゼロですが何か?
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モフモフうさぎ>電波受信達、やられたみたいっすね、今がチャンス! 早くチュートリアルしに行きてぇ
白刃のロビー>やっぱりラヴィさんのチャレンジも無駄ではなかったって事ですよ。٩( 'ω' )و
── ネカマ暴露チャレンジの事ですね。はい、ほとんど罰ゲームみたいなもんでしたけど……
モフモフうさぎ>じゃあリスポーンしてきます、後でパーティーよろです。ノシ
白刃のロビー>僕もリスポーンし直しますね、ではまた後で
ラヴィアンローズ>ではまた〜
モフモフうさぎがグループチャットから抜けました。
白刃のロビーがグループチャットから抜けました。
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俺はリスポーンする前に、ナイトパンツと巴御前にお礼の一言でも言っておくことにする。ここは大人の対応を見せておかねばな。だけどまだ直接声で話せないので、オープンチャットに書き込む事にした。
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ラヴィアンローズ>ありがとうございます、ナイトパンツァーさん、巴御前さん
ナイトパンサー>おっ、どういたしましてラヴィさん
巴御前>無理しないでねラヴィちゃん
ラヴィアンローズ>今からリスポーンしてきます。では、またっ
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(危うくナイトパンサーの名前をナイトパンツって書く所だった…… しかし、巴御前、あのリアル女め、俺に無理しないでだと! してねぇよっ)
ピコンッ
ラヴィアンローズ
加護ポイントボーナス
煽り耐性 8 (+3)
また煽り耐性ってスキルが上がった。
(煽り耐性…… 果たして何の役に立つのだろう? あ〜違う違う、こんな事で悩んでる場合じゃないわ)
急いでリスポーンしようと俺は目の前に薄っすら浮かんでいる文字、「ゲームを再開しますか? Y/N」に、目線でカーソルを合わせてYをポチッと押した。
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画面が明るくなると同時に、コロコロと水が流れる音、小鳥のさえずりが360度のパノラマで聴こえてくる。よしっと、動けた!
(うわっ!?)
リスポーンしてリスポーンゲートの柱だけのドームを出た俺の目の前に綺麗なエルフの女の子が立っていた。エルフなのに綺麗な黒髪をしてる。
「おかえり、ラヴィちゃん。フレンド申請してもいい?」
そう言いながら目の前のエルフの女の子が右手を差し出してきた。
(えっ、この声って巴御前じゃん。どうする、なんか手を出して待ってるぞ…… こっちを見てる、そしてこのエルフの向こうにはリアル声可愛い女子が居るわけだよな)
そう考えると、緊張してきた。ドキドキして巴御前の目を真っ直ぐに見る事がなんだか出来なくなって……
(無理っ完敗。俺の負け、無理ぽです)
おろおろする俺の前で、巴御前が手を出して待ってくれている。
(これって手を握ろって事だよな。手を、手を、手をって、俺なんかが触っていいのかな? あれっ、手を握るってどう操作すればいいんだろ?)
巴御前が首を傾げて、それから俺の方に手を突き出して来た。
(あらっ、あららっ、何故か勝手に俺の手が巴御前の手を握ったたたたた!)
リアル、リアルに巴御前の柔らかな手の感触があった。脳内変換されてるんだろうけど、手の感覚があるなんて色々と凄い。
「よろしくね、ラヴィちゃん」
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巴御前とフレンドになりました。
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目の前の右の空間に文字が浮かんですっと消えた。
「あっ、まだチュートリアルしてないからか、音声で私と話せないんだよね。じゃあ私はもう行かなきゃ、またねっ。それとラヴィちゃんと一緒に倒れていた2人はもう街に行ったわよ。頑張ってねっ」
手を離した巴御前が俺の肩を軽く「ほらっ」と、叩いた。
肩に触れられて体が少し揺れた感じがした。でも俺の心はグラグラ揺れていた。
(巴御前にその気が無いのはわかってる、わかってるんだ。でもそんな事をされたら惚れちまうだろっ)
振り返りたかったけど、それをぐっと堪えて俺は走り出した。
(なんなんだよこのゲーム。とりあえず最高じゃないか!!!)