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76 真実に向き合う覚悟を持て

「ラヴィちゃん、俺からもお願いだ。リサが出来るなら俺も出来るかもしれない。でもまずはリサだ。リサには上手く行って欲しい、ラヴィちゃんは、これから先にリサの本当の姿をもしかしたら見る事があるかもしれないし、無いかもしれない……。だけどラヴィちゃんはあの子の外見じゃなくて、中身をしっかり見ていて欲しい。」


(重たい話かな? なんだかさっきからモフモフさんといい、マッテオさんといい、俺が知らない事を知ってて、ぼやかして話をしてきてるみたいだ)


 登り坂は少し勾配がきつくなって、丸太を埋め込んで階段状に並べているの所もある。先に行ってるリサはドンドン進んでいるし、なぜかつられてモフモフさんもついて行っている。


「中身を見るか……。凄い難しい事だと思うよ。人の中身なんて覗いて見ることなんて出来ないし、上っ面がいい奴なんて人が10人集まれば1人は居るもんだ」


「んだ。俺の説明は要らないか?」


(いや、むしろ今 "んだ" って言った方が気になるんだけど)


「まだ大した人生経験も無いけどさ、俺バイト先でスゲー嫌な女が何人も居て、マッテオさんの言ってる事がなんだか分かる気がするよ」


「例えばどんな?」


「俺がまず1番嫌いなのは、自称心理学の本を読んで勉強したって言ってる女。人の気持ちが読めるとかわざわざ口に出して言うし、何かのきっかけでスイッチが入って気持ち悪い独り言を言い出す。ほんと気持ち悪いから、目の前でお前は馬鹿、デブ、超気持ち悪い生き物って散々心の中で悪口を言いまくっても、全くわからないくせになにが直感が優れているだと? 俺から言わせればテメェの都合のいいフィルターにかけて人を見ているだけで、気に入らない相手の事は全否定。全て相手が悪い、私は悪くない、私が100パーセント正義で正しくて、その私が言うことは全て本当の事。他人の悪口を言う人は最低、私は絶対言わないし……と事あるごとに人に言いまくっていながら、気に入らない人の悪口、しかも自作の思い込みの何の証拠もない話をベラベラと第三者に話しまくって、わからない所で人の評価を陥れるゴミ。個人レベルの心理学の本を読んだ? 何のために? てめぇに必要なのは、鏡だよ。てめぇの汚いヘドがでる姿を映す鏡」


(あっ、やっちまった……)


「大変だねー、ラヴィちゃん」


 マッテオさんは、俺の汚い言葉を軽く流してくれる。

 つい溜まっていた俺の鬱積していた気持ちが、堰を切ったように吐き出されていく。


「すいません、ついゴミの話をしてしまいました。わかっているんです、周りが大人ばかりでその中に病気の生き物が居ると、手がつけられなくて大変で。精神を病み尽くして治る見込みの無い害悪の中心。それがこの女の正体。もっと専門用語で言いたいけどやめとくわ。とにかく表面だけが良い、ただそれだけ。裏は真っ黒だから、どうやって表面だけの状態を維持させるかが俺たちの負担で、精神をすり減らしてんです」


(思い出してもムカついてくる)


「結局、人の本質なんてちょっと付き合っただけで分かることなんてあり得ないっていう現実、真実。心理学を学んだんなら結論までちゃんと理解しろって事で。外見と中身、特に中身。思いやりと気配りをしてやった結果が、まさかの自分が邪魔者扱いされたと脳内変換した上での逆ギレされたりで、残念な思いをしたことがあって……じゃあ今まで色々と一緒にやってきた事は見てなかったのかって、おれがそんな人間じゃないって思わないのかって……」

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