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75 開いた先には

「姉様、姉様、リサが参りました。リサとリサの友達のローズと、リサの知り合いの肉屋のマッテオと、うさぎを連れて参りました。どうかこの扉を開けて。リサは姉様にローズを紹介したいの」


「ゴゴッ」


 ほんの少し岩の扉がリサの方へ開いた。こちらからは取手などの掴む場所が無いので、内側から押さないとこの岩の扉は開けないみたいだ。


「姉様、姉様、今日はお花は無いの。でもみんなでお話しをしたら楽しいと思うの。姉様の入れてくれたお茶をリサは楽しみにしているの、美味しすぎて、気絶するぐらい美味しいお茶を早く飲みたいの。姉様、姉様、開けて下さい」


「ゴッ」


 また少しだけ岩の扉が開いた。固唾を飲んでリサの背後から様子を見ている俺とモフモフさんとマッテオさん。


「姉様、姉様、私はリサとして生きていける気がしているの。だからロゼッタ姉様と会いたい、話がしたい、どんなに糸を風に乗せて飛ばしても届かなかったのに、誰にも繋がらなくて、お花しか私には無かったのに、醜い姿で誰からも好かれなくて……そんな私でも、それでも姉様でいてくれる姉様にお話ししたいの。聞いて欲しいの。私はリサとして空に飛び立つ、そう決めたの……」


「ズズッ」


 モフモフさんが鼻をすすってる、なんで泣いてるんだ?


「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ」


 遂に大きな岩の扉が開かれた。


「ありがとう、ロゼッタ姉様」


 リサが開いた扉の中に入って行く。続いて入ろうとする俺をモフモフさんが呼び止めた。


「大事にしろよっ、リサの翼はラヴィちゃん。お前なんだからな。ありがとう」


 そう言ってモフモフさんは扉の中に入って行った。


(何をありがとうなんだろう。そもそもあの号泣モードはどうしたんだ? リサとリンク……かな。リサの気持ちがモフモフさんを泣かせた)


 遅れて俺も中に入る。俺の先に入ったマッテオさんが待っていてくれた。岩壁の中に入ったのだから、そこは岩をくり抜いた岩屋みたいな所かと思っていたら……風を感じた。


 さっきまで壁に囲まれた場所にいたのにここは……空から太陽の光が降り注ぎ、緑の草原が広がる高原の丘陵地帯。俺が立っているのは人が2人並んで歩ける幅の小道で丸い丘の間に伸びて行っている。


 小道は登り坂になっていて少し先にリサとモフモフさんが歩いていた。その先に、ちょうどこの小道が終わる場所に白い建物が建っている。あそこがロゼッタの館ってわけか。


「ラヴィちゃん、少し話しながら行きますか」


 マッテオさんが後ろを見て言った。後ろにあったはずの岩扉が……無い。


(あれっ、岩壁。全部消えて草原、高原の草原、ここはカルデラの外周部にある山の上みたいな場所だ)


「また世界が変わった。そうだ、マッテオさん、もう着くんでしょ、マッテオさんの娘さんのいる場所に。このロゼッタ姉さんのフィールドの次じゃないかな? 俺はそんな気がするんだけど」


(どうだ? 変化ありかな……)


「ラヴィちゃん、ラヴィちゃんはさっきのリサの言葉を聞いてどう思ったんだ? 」


「なんか抽象的な物の例えで気持ちを吐露していたように聞こえたけど」

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