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55 後から来たマッテオ

(やべえよ、ラヴィちゃんもうリサと鉢合わせしてるんじゃないか? 素直に戻って来ればいいんだが・・リサの気分を損なうとちょっとどころじゃ済まんからな)


 うっかり触れて、花の回廊を彩る花々の枝や葉を傷つけたりしないように気をつけながらマッテオは歩いていく。


 さっきからラヴィの声が聞こえないかと、耳をすましているが悲鳴は聞こえてこなかった。


(悲鳴って決めつけているところが悪いかなっ。まぁ切れたリサがやる事はかなり残忍というか、冷酷で恐ろしいって言う噂だ、噂? 誰から聞いたっけな)


「ラヴィちゃんが居ねえよ、うっかり横道に入り込んでいたらもうお手上げ、きっとリサに捕まってグルグル巻きにされて、お尻ペチペチされてるに違いないさ」


 ブツブツ言いながらマッテオが薔薇の群生地に足を踏み入れた。


「リサはね、どの子が1番だなんて事は決めないの」


「うん、わかる。リサはみんなに優しい人、あの太陽の光のように、分け隔て無く優しく包み込んで守ってくれる暖かい存在だわ」


 リサとラヴィアンローズが、仲良く座ってお話しをしているところにマッテオが現れた。


「遅い、遅い、マッテオ。マッテオが来るのは知ってた。リサ聞いたもん、ちゃんと黒い扉を閉めたって。それで何しに来たの? 」


「おう、久しぶりだなリサ。その様子だとラヴィちゃんと仲良くなったのか?」


 リサがコクリと頷いて、ラヴィアンローズの方を見た。


「言っちゃ悪いが、ラヴィちゃんはもうリサにギッタギタにザクザクされてるかもと思ってたりしたんだけどな」


「何を言ってるの、マッテオさん」


「リサもよくわかんない……マッテオ意味不明」


「いやいや、結果良かったけど、リサは普通は知らない人がここに入ったら凄く怒るだろ? だからラヴィちゃんが無事なのが不思議でな」


「ローズはリサの友達で、大好きな友達で、みんなが大好きな友達なの。マッテオの心配は要らない、だってみんながローズの事が好きって言ってるから」


「わかった、わかった」


(確かにリサは人ってもんを信じていない、だけど花達は違う、花や草木が言う事に表や裏は無くて、嘘偽りが無い、と言う事はラヴィアンローズ……ラヴィちゃん……やっぱり俺の見立ては間違っていなかったって事だ。お前の事を信じて良かったよ)


 ラヴィアンローズの隣に身を寄せて、花達のお手入れの話に夢中なリサを見てマッテオが1人感動していた。花や草木、植物にしか心を開く事が無いと思っていたリサが、普通の花が好きな女の子の会話をラヴィちゃんとしている。


 時折誰も居ない方へ顔を向けて返事をしたりしているが、それはいつもの癖みたいな…


(あっそうか、リサはラヴィちゃんとだけじゃなくて、周りの花達とも一緒におしゃべりしてんだ)


 リサにしか聞こえない花達の声が、まるでラヴィちゃんにも聞こえているように見えてしまう。不思議な光景に、つい微笑ましさを感じてマッテオは首を振った。


 片方のラヴィちゃんは見た目は完全に男だ、遠くから見たら恋人同士に見える。


(でも話を聞いたら、女の子同士のおしゃべりなんだよなぁ……)

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