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52 GM、良くも悪くも神である。

 モフモフうさぎと、ラヴィアンローズ、まだ実装されていないクエスト用のフィールドに放り込まれた2人。


 アクエリアの噴水を見下ろすとある部屋の窓辺に腰掛けたGMスワンは、手にしたモニターをじっと覗いている。修正は途中からでも可能、しかし思いもしなかった方向へ進んでいる。独立したAIを搭載したNPCが思わぬ成長を遂げる可能性を目の当たりにして、驚きと一抹の不安も感じているスワンだった。


 さっきまで疎らになっていた、噴水の辺りに人が集まっている。何事かと立ち上がって見てみると、何人かが噴水の中に入ってバタバタしているのが見えた。周りの人が邪魔になって何が起きているのかが、はっきりしないがあの慌てた様子は何か問題が起きていそうだった。


 GMスワンは、腰をあげると取り敢えず事態の確認に向かう事にした。もしかしたらだが、噴水にはまり込んだプレイヤーがいるのかもしれない。流動的な画面と固定画面の境の処理の問題で、たまに起きてしまうバグが起きて、人がハマってしまうなんて事は良くあったりする。


(まぁ、見に行ってみよう)


 GMスワンは、モニターをテーブルに置くと部屋から出て行った。


 ―――――――――――――――――――


「おーい、スワン帰って来たぞー!」


「あー疲れた、休憩してもいいか?」


 GMバッドムRと、GMカルがさっきまでGMスワンが居た部屋に帰って来た。GMバッドムRは白刃のロビーに仕掛けたイタズラの解除から、GMカルは会社の上の人からのリアルな呼び出しから帰って来て、モニタールーム……つまりGMの中の人達がVRギアでアンタレスの世界にダイブしたり、戻って来て設定をいじったりする部屋でダイブから戻って来ていたリアルのバッドムRと合流して、一緒にログインして来たところだ。


「スワン居ねえな」


「R、これなんだ?」


 カルがスワンが置いて行ったモニターを手に取って言った。


「あんっ、なんじゃそれ。なんか映ってんのか?」


「こいつら、おいっ、お前の敵じゃねぇかっ!」


「おっ、おっ、何、何、見せてくれ」


 2人してモニターを覗き込む。


「これあれじゃねえか、街のなんだっけ……クエストにあった……試練の扉だったっけ。城に入る前にクリアしねえといけないやつ。まだ実装してないやつだよな」


「カル凄えな、よく覚えてたな。すっかり忘れてたよ、確かにそうだ、つーかうさぎの野郎、花の回廊を突破してるじゃねえか! あいつそんなに強かったか?」


「少なくとも最強の魔導士だったお前を、一撃で殺すぐらいは強かったな」


「ぐぅっ、なんてなっ。カル、俺いい事思いついたぞ。これスワンが仕組んでんだよな、多分家をやるって言ってたのと関係してるだろ。このクエストをクリアしたら、ご褒美だーとかな」


「そうか? 面倒くさいけどそんなことするか?」


「あいつの性格ならするわ。実装前のクエストだし、テストも兼ねてとか言いそうだろっ」


「確かに」


 モフモフうさぎが花の回廊の終わりから、次の扉を開けようとしている。


「設定見れるか? カル」


「あぁ、えっとこうやって……ほら出た」


「激甘じゃねえかっ、グヘッグヘッグヘッ、弄れるよなーカルさん」


「やる気かぁ? バッドムさんよ〜ぐふふふ」


「どっかに移動しようぜ。スワンが帰ってきたらうるせえからよ」


「おぬしもワルよのう、バッドムや」


「いやいやお代官様程では、カル様」


 お決まりの台詞を交わしながら、部屋を出て行く2人であった。

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