47 ラヴィのラビリンス
カップ麺を食べ終えた俺は、そそくさと汎用型VRヘッドギアを手に取った。もう結構時間が経っている、ネットでスポーンゲートの変更については確認済みだ。
(暗いスクリーンの向こう側の、明るい世界が俺を待っている)
そう思いながら画面を覗くと、俺のデスペナルティタイムは終わっているようだった。
1回ログアウトしてからのログイン、一応ゲームはリセットされるに違いない。上手く行けば、噴水公園の近くにスポーンするはずだ。しかし、もしもさっきのスライム地下水路に再び飛んだら、まずやる事はGMスワンにチャットを試みるって事。
たしかGMスワンはゲームの中にログインしていたはずだから、連絡が取れたらなんとかしてもらう予定だ。だけど、もしもGMスワンと連絡が取れない場合は、さっきとは反対の方向に地下水路を進んでみようと思っている。
冒険と言えば聞こえは良いけど、本音は地上に登るハシゴでも有ればラッキー、というかあって欲しい所。何にも無ければ退場だろうね。運が悪けりゃまた巨大スライムとの遭遇…… そうなって欲しくないけどさ。
まいっか。よーしっ、じゃあもう1回行ってみようか、アンタレス・オンラインの世界へ。待たせたなぁぁぁぁ!
◇◇◇
さっきはいきなり真っ暗な空間に放り込まれたラヴィアンローズ、しかし今回は違っていた。そこは噴水公園では無く、地下水路でも無かった。
床がタイルを貼ったように艶めき、奥行きのある街の路地。真っ直ぐな道が先の方まで続いているが、行き止まりに大きな両開きの黒っぽい扉が見える場所。
右も左も4階、5階建の建物が道に面してきっちりと並んで繋がっていて、建物の色は薄いクリーム色で統一されている。建物の1階部分は店であったり、アパートの玄関であったりする……が、肝心の人が居なかった。
(ヨーロッパのお洒落な隠れ家的な路地裏みたいだなっ、行った事無いけど……)
それが俺の第一印象、ログインした世界は期待していたのとは違っていたわけで、幸いにも地下水路ではなかった。
(何処だここは?)
俺はすぐにマップを開いた。真っ黒なマップなら怪しい訳で、ちゃんと街のどこかであればそれなりに何か映っているはずだ。
(あらら、この通りだけが表示されているわ。街の一角という扱いにはなって無いみたいだね)
変な予感がする。NPCや、プレイヤーが1人も居ない。後ろを振り返ってみたら、すぐそこで白っぽく光る壁がすっぱりと建物の並びを切るように、行き止まりになっている。
(やっぱり、どこかの閉鎖空間に出ているよな……じゃあGMスワンは呼べるのかな?)
俺はフレンドの項目からGMスワンを選んで、チャットの申請をしてみる。
フレンドチャットの縛りが無ければ、プレイヤー同士、何処に居ても同じ鯖の中ならチャットは通じるはずだ。しかし、フレンドチャットに制限、というか、ゲームの世界側に縛りが存在するならば、同じ街の中でしかフレンドチャットは通じなかったり、特殊なアイテムが無いと遠距離チャットが出来なかったりする事がある。
(どうだ? 繋がるか?)




