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52 キツくロープで縛られて

「私の名はイーニーよ。ユニークではない」

「いや、あのユニークって名前じゃなくて特別なキャラクターって言うか、町に居るお店の人よりももっと特別な人の事を言うんだけど」


(ハル、ユニークって何? こいつが言った特別ってどう言う事なんだろう)

(恐らく、真凛(マリン)奏音(カノン)、そしてお前のような存在の事だろう。それよりも気をつけろっ、目の前のエルフは時間稼ぎだ。残りの2人が姿を隠した)

(大丈夫よ、【ゴーストタウン】はもう発動済み。今度は一瞬で飛べるから、こいつらが何をしようとしているか聞いてみる)


「イーニーさんって言ったよね。あの、僕ばっかりが喋ってなんだか変な感じだけど、君はこの町のクエストとかを持ってる人なのかな?」


(クエスト……あっ)


「お前達に資格はあるのか? 資格の無いものはこれより先に進むことは許さない」

「資格? 資格って」

「えっと資格ってなんの資格なんだろう?」

「今君が言ったのに? 君は何者なの?」



 突然、閃光弾がロイとイーニーの間で炸裂した。


 音もなく投げ込まれた閃光弾が来る事を知っていながら、ロイが素知らぬ様子で話していた為にイーニーは簡単に閃光弾の餌食となってしまった。


「きゃあっ、眩しいっ」


(イーニー、逃げろっ)


 ヒュン、シュルシュルシュルシュル


(あっ、ええっ! ハル、ロープで体を縛られてる。どうしよう?)

(ゴーストタウンは効いたままだな、このまま飛べるだろう)

(うん大丈夫、飛べるよっ。だから……捕まったふりをしてみるね)


 上半身をギュウギュウにロープで締め上げられて立ち尽くすイーニー。ロープの端はTAKAが握っていた。


「いやぁぁぁっ、痛いっ。どうして? 離してよっ、あなた私を騙したの? ねぇどうしてこんな事をするの?」


「悪しきものを照らし出せっ、ライトボール、ライトボール、ライトボール、ライトボール、ライトボール」


 たじろぐイーニーを見て、確信を持ったかのように次から次に光球魔法を繰り出すロイ・クラウン。イーニーの周りを照らす光の玉が、辺り一帯を埋め尽くしていく。


「いやぁぁぁぁ、眩しいっ。どうしてそんなに明るくするのよっ、ねぇ私苦しいのっ。このロープは要らないでしょっ、あなた離してよっ」


「油断するなっロイっ、まだ光球は足りていない。その人形はTAKAが抑えているが、他の冒険者は見えない刃で首を切られてやられている。どんな技をもっているかわからないが、明るい時に被害者は居ない。つまり光に弱いわけだっ」


 鬼の首を取ったかのように言い放ったナイトパンサー。ロイ・クラウンが更にライトボールを作り出してイーニーを照らしあげるので、眩しすぎて目を開けられなくなったイーニーは膝をついてしまった。


「よしっ、効いてるぞっ! これでお終いだぁっ! ライトニングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥエレメンタルウォ─────ルッ」


(ひぃぃ、ハル、こいつら鬼畜だよっ。私の周りを光の壁で囲みやがった)

(見事に計算された捕獲作戦だな。だが、少し目立ちたがり屋が居るようだ)

(うふふっ、たしかにねぇ。さっきの聞いた? ライトニングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥナンチャラって、長すぎじゃない? あんな魔法の詠唱を聞くとなんだか思い出すね〜、私たちの使命だった何かを)

(生まれた意義の話か……お前は面白い事を言っていたな)

(誰かに意地悪をするのよ。通せんぼっ。みたいなのだったかなぁ)


「おいっ、人形っ。観念しろっ、お前は危険な存在だっ。どうして冒険者を襲う、闇雲に人を敵に回してどうしようって言うんだ?」

「そんな事、そんな事、やってもいないのになんの話だか」

「ふっ、そう来るだろうと思っていたよ……」


 ◇


「ねえ、ハル。このなんでもわかってるんだ野郎って、何か知ってそうだからもうちょっと遊んで良い?」

「ほどほどにしておけっ、真凛達を逃がす時間稼ぎだ」

「真凛と奏音はもう宿から出たよね」

「俺の狐火で伝えた。もうすぐ海側に抜けるはずだ」

「また会えるの?」

「さっさと切り上げればその分早く合流出来るぞ」

「もうちょっとだけ」


 ◇


 灯台広場に残した幻影の春天公主・憑依イーニーを操りながら、白狐・春天公主の背に乗るイーニーが【ゴーストタウン】で町を掌握している。


【ゴーストタウン】の中では、イーニーはいつでもどこにでも、そして何人でも姿を現わす事が出来るのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] おとぼけイーニーちゃんかわいい(*´艸`*)
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