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7 解放された欲望の力

 俺の目の前が真っ暗になった。気を失ったのか? でも意識はあるし頭痛が治っている。


 あらっ……外の声が聞こえない。ついさっきまで奏音(カノン)の気が触れた声が聞こえていたのに、無音。座り込んだ足と、地面についた手の感覚はある。だけど真っ暗なんだ。


(所有者よ)


 えっ? 男の声、誰だぁ。今、頭ん中に響かなかったか。


(所有者よ、我の声が聞こえるならばこちらを見よ)


 声がするのは頭の中、どっちを見ればいいんだ? つーか周りは真っ暗なんだっつーの。


(聞こえてんぞっ、あんた誰? 真っ暗で見えねーよ)


 ぬおっ! 俺、口を使って喋ってねぇぞ。思念、思念で会話した? 凄え、なんか始まった感がバリバリしてきたぜっ。


(前を見よ、所有者よ)


 前ね、はいはい。真っ暗で何にも見えね……



 ゾワッ



 悪寒が身体中に走った。真っ黒い液体の中から浮かび上がるように、赤い血管の浮き出た白い骨の髑髏が姿を現したんだ。眼球の部分は真っ黒でそこに赤い火が灯って……


 ── お前は指輪の髑髏じゃねぇか。


(契約は、しかと結ばれた。生贄の血、憎悪と憤怒と遺恨にまみれた血、ああっみなぎる力。我の所有者よ、我に命じよ。我の力を解放せよとっ)


 オッサンの血が指輪にかかったのか。指輪って8本あったぜ。目が光ったのは右手の人差し指のやつだったけど、奏音が光らせたのかと思ってたぜ。違ったのか、つーか近づくなよ、デカくて怖えよ。


(我の力を解放せよっ、所有者よ)

(うっざ。お前俺の言う事を聞くのか? なあ、答えろよっ)



(我の力を解放せよっ、所有者よ)


 ふんっ、やっぱゲームだわ。こいつユニークアイテムだな。カルは何も言わなかったけど、これがモフモフの持ってるライジングサンみたいな奴って事か……よしっ、いいだろう。解放してやるよっ、強えんだろうなぁ髑髏よぉ。


(俺の言う事聞けよ、あぁっ? 聞いてんのか、髑髏さんよぅ、絶対服従が条件だっ。守るんなら、解放しろよ。おめぇの力ってのをよっ)


(守ろう。我は所有者を守る、なぜなら我の為に、力を存分に堪能する為に。フフフフ……ハハハハハハ)


 ブビュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


 渦を巻いて真っ黒な世界が髑髏の口に呑み込まれて行く。そして元の世界、さっきまで奏音が目の前に居たクエストの世界が周りに浮かび上がって来た。


 俺はすくっと立ち上がった。もう髑髏は見えねぇ、だけどこの身体にみなぎる異様な高揚感がそうさせたんだ。なんだかわからねぇが全然負ける気がしねえ。なぁ奏音ちゃんよぉ、覚悟しろよっ。


 目の前の奏音が大きな目を見開いて後退りしている。どうやら俺から放たれる強烈なオーラに畏怖して、ビビってるみたいだ。


「おい奏音、お前、無実のオッサンを殺したなぁ。いいのか? 関係無い無実の人を殺して。あぁっ? 聞こえねぇぞ、こんな時は何て言うんだ。知らないなら体で教えてやんぞっ、ゴラッ」


 ズヌリッ


 ヌメヌメした真っ黒な触手が奏音の影から現れて彼女の足を伝い、巻きついていった。


「ヒィッ」


 うっ、今の声。ドキっとしたぜぇ、いい響きだ。もっと言わせてぇ。


 奏音に巻きついた黒い触手が、ドクドクと脈動して、まるで俺が興奮してるのが伝わってるみたいじゃねぇか。


「や、やめてっ。何これ、う、動けない」


 がんじがらめにされた奏音に俺は近づいて行った。やってやる、蹂躙してやるよ、俺様の物になるまでいたぶりまくってやるぜっ……


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