表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
327/467

55 牢獄行きよっ!

 厨房への通路からガルフが顔を出して見ている。しかし雰囲気が悪そうなのと、リサの自由奔放な言動を知らないわけではないので、そっと音を立てずに厨房へと戻って行ってしまった。


「C.C、少し語弊があるよ。 プレイヤーと人工知能が恋人になる事は可能だよ。 何の問題も無いし、特にリサはハイスペックAIを搭載したユニークキャラなお姫様、人の持つ感情を持っているし」


「私の事は? ちょっと私はどうなるの?」


 C.Cが狼狽(うろたえ)気味に口走った。


「えっ、別に何もないし」


「そうなの……まあ私もゲームの中じゃ、別に何も無くてもいいけど」


 C.Cがリサから目を離さずに言った。


「ローズは私のローズなんだから」


「私はラヴィに唇を奪われたのに」


(わぁっそれを言うっ! というかあれは男の子とのキスで、問題なしっていうかむしろそっちからキスしてきた……)


「というかC.Cって男じゃないか」


「「 はいっ?」」


 C.Cとなぜかフレディが声を揃えて言った。


「ラヴィさん何を言ってるんですか? C.Cさんって女性ですよ。 エフェクターを使ってない本物の女の人の声ですし」


 大きな声を出したフレディは、リサの表情がちょっと怖くなったのが見えて、慌てて目を逸らした。


「キスしたんだ。 なぜなのローズ」


「よく覚えてないけど、あの時はC.Cの方からいきなりキスされたはずだよ」


 それを聞いたリサが動いた。 皆の前でラヴィに顔を近づけて、唇を重ねる。


(はぁ……すごっ、本当に人じゃないの?)


 人工知能であるリサが、まるで本物の人間の女の子と同じように男を巡って言い争いをして、更に実力行使でC.Cの目の前でラヴィにキスまでしてきた。 これを人と呼ばずして何と呼べば良いか。


「でもそのキスだってこの世界の中での事でしょ。 私は現実の世界で、本物のラヴィと会う事が可能だし。 そこで何が起きてもこちらとは関係ないし」


「いや、逢ったりしないし」


 リサのキスから解放されて、慌ててリサに否定するラヴィ。


「C.C、私もあなたも今この場所に居る。 今のあなたはこの世界に作られた体を操っている意識の再現された物。じゃあ私は何なの? 私があなたと違うとでも思ってる? 私の意識がこの体を動かしていて、このリサの身体を動かしている。 同じ事でしょ」


「何を言っているのかわからない。 あなたが現実世界に本当に居る人間だと言うのなら話はわかるけど、あなたはゲームの中の人でしょう。 どんなに頑張っても外には出て来れないじゃん。 その時点で私の勝ちよ」


「じゃあ、リサはこの世界のあなたを殺すわ。あなたなんて居なければいい」


(怖っ。 まじでこれを言ってるのは人工知能なの? まるで人間そのものじゃない)


「あの、待ってくれよ。 この場合俺がどちらが好きかで決まるんじゃないか」


「いいえ、ちゃんと決着をつけるわ。 ローズは黙ってて」


「私を殺したところで経験値が減るだけだし、街の中じゃPKは出来ない。 たとえ死んでもログインし直すだけで何も変わらないわよ」


「可能よ、あなたを牢獄に閉じ込めてしまえばいいの。 この世界では抜け出さない限り何度ログインし直してもずっと牢獄の中に居ることになるんだから」


「はいっ? な、な、何、何言ってんの。 だいたい何の権限があってそんな……」


「私はアクエリアの姫よっ、傍若無人な振る舞いを許されているの。 私に楯突いた報いは受けてもらうわっ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ