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27 何気にゴブリン話

 ロゼッタの空を飛ぶ船、エリスロギアノスは定刻通り朝10時にアクエリア城から出航した。目的地はアクエリアから北、ベルクヴェルクの廃墟都市との中間地点らしい。


「もしかして僕の作った宿場町トボトの近くとか?」


 エリスロギアノスの船首部分に位置する操縦室には、思い思いの椅子やソファ、テーブルなどが持ち込まれていて、皆寛いだ様子で眼下に広がる森林地帯を眺めていた。進むスピードは現代の飛行機よりはゆっくりである。


「スワンじゃないと分からないか。ちょっと前だけどベルクヴェルクに向かう街道沿いに、部隊が駐屯する為の町を作ったんだ。宿場町トボトって町なんだけど、場所的にアクエリアとベルクヴェルクの真ん中辺りなんだよね」


 ラヴィの話を聞いて、リサがコンソールの上で指を走らせた。


 操舵室の前方にマップが浮かび上がった。今回の目的地が赤い印で点滅している。


「ラヴィちゃん、果樹園って街道からはかなり左に外れてるよ。つーかさ、このまま進んだら海に出るじゃん。青い空、広い海…… 」


「うさぎっ」


 ロゼッタが脱線しそうなモフモフうさぎにクギを刺した。


「ベルクヴェルクがブッ潰れたしなぁ、あん時のゴブリンって居なくなったらしいけど、ラヴィちゃんは何か聞いてるか?」


 マップの街道をなぞっていって、ベルクヴェルクの場所で指を止めたモフモフうさぎが言った。空間に表示されているマップはスカスカなので、モフモフうさぎが指差す場所は指が通り抜けたりして微妙にずれている。


「公文書館の掲示板にゴブリンの出現情報がたまにあったんだけど、単体で行動していて殆ど冒険者が倒してしまったって話だよ」


 ── ゴブリンが恐ろしい敵である。それはアクエリアでは常識となっていて、相手がたとえ単体であっても冒険者達はパーティを組んで戦いを挑んでいた。


「待って、その話ならお父様の仲間のGMが最終確認に出かけているそうよ。ベルクヴェルクはもう調査が済んだみたい。残念だけど水に毒があって人が生活する事はもう出来ないらしいわ」


 ── ベルクヴェルクの水に毒が混ぜられた話は、ラヴィもよく知っている話だった。下手をすればアクエリアも同じ事態になっていたのだ。それを未然に防いだ出来事の詳細を知るのは、ラヴィとモフモフ、そしてここには居ないスワンだけである。


「んっ? 最終確認ってベルクヴェルクにまだ誰か残ってるのかな?」


 モフモフうさぎがロゼッタの方を見た。


「ゴブリンの王国、極秘事項なので発見した冒険者達にはまだ口外しないように報酬を出したそうよ。その冒険者達とGMの誰かがそこに行っているの。耳にたまたま入っただけの話だけど、結局全部聞いてしまったの……ダンジョンって言ってた」


「ダンジョン?! 遂にかっ! アンタレスにダンジョンが登場」


「いやいやモフモフさん、話が早すぎっ。 という事は、ロゼッタ、ゴブリン王国ってとこにゴブリンが居ないって事かな?」


「ゴブリン以外のモンスターは居たそうよ。宝石なんかも転がってたって」


「罠?」


「お父様達も最初はそれを疑ってた。 だから、冒険者達に何度も潜入させたの。死んでも構わないから」


「酷い扱いだな……」


「たっぷり弾んだから良いのよ。他のGMがそう言ってたわ」


 腰に手を当ててマップを見つめるラヴィ。マップにはゴブリンの王国の場所はまだ表示されていない。


 リサの操縦するエリスロギアノスは、水上都市アクエリアの領域を抜けてどこの都市にも属さない地域の空を走る。


 向かうは復活の果実を栽培する為の果樹園の場所。と言っても現地がどうなっているのかはまだ分からないのであるが……

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