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24 アクエリア城の会議室

ガラオロス山の冒険 ep.エンド

「おい、起きろモフモフうさぎ」


 リハクがモフモフうさぎの側に来て声を掛けた。ゲームの中で本当に寝てしまっていたモフモフうさぎ。


 居心地の良いソファから身を起こすと目の前にアクエリアの城が見えて、リサの操船する船が城の内庭に新しく作られた係留ポートに船の向きを変えながら高度を落としている最中だった。


「もう着いたのか、というかクエストフィールドと、こっちの世界を繋ぐゲートもどっかに新しく作ったって事かい?」


「寝ていたから見ていなかったのね……うさぎ」


 外の様子を見ていたロゼッタが、モフモフうさぎを見て言った。



 ── ワープゾーン、例えるならこの言葉が1番分かり易いだろう。クエストフィールドの霧の谷ストレイの上空に、ロゼッタの船エリスロギアノスが通り抜けられる大きさのゲートが設置されていた。通り抜ける際の時空が歪むエフェクトは、一見の価値がある。



「凄かったのに、グーグー寝てたし」


 笑いながらラヴィがソファの背の部分に腰掛けて言った。


 自動操縦に任す事も出来た接岸作業を、今回はリサが行った。無事にエリスロギアノスを固定すると、肩の力を抜いてひと息ついたリサがラヴィの側にやって来た。


「お疲れキャプテン」


「楽しかった……リサも船が欲しくなったの」


「だろうなぁ」


 やっぱりという顔をして、ラヴィは苦笑いをしていた。



 △▽△▽ △▽△▽



「それでさ、あそこは神殿って事でモンスターが居るのはおかしいんじゃないか?」


「うん、だけどもう神官も居なくなった荒れ果てた場所って事だし? どう思うスワン」


 アクエリア城の会議室、ガラオロス山のクエストから帰って来たラヴィ達が集まってクエスト検討会議をおこなっていた。何気にリハクも参加している。


「ランダムポップのモンスターを最初の聖堂跡に2種類、ドームから階段までは安全地帯として階段の途中に飛行系のモンスター1種類、上の尖塔前にボスモンスターって所かな」


 スワンはそう言うと、手元のモニターを操作してテーブルの中央に画面を浮かび上がらせた。立体的に浮かび上がるモンスター、スワンがモニターの上で指を滑らすと次のモンスターが現れる。


 身を乗り出してリハクがモンスターに手を伸ばして、その手が空を切った。


「幻なのか…… まるで本物のようだ」


 リハクの様子をにこやかに眺めながら、スワンがモンスターを指差して言った。


「今表示しているのはレベル的に40から45の間のモンスターだ、と言ってもどのぐらいの強さか分かるかな?」


 ラヴィもモフモフうさぎも首を振った。2人とも特定のジャンルで最強と呼んで良い存在だし、一般のプレイヤーと同様に、外に出て徐々に強くなるモンスターを倒して来ると言ったルーチンは行って来ていなかった。


「あのさ、俺思うんだけどソロプレイヤーもチャレンジ出来るようにしてもらいたいんだ。パーティ必須って決められたクエストじゃ、どうしても敷居が高くなるしどこかに所属しなきゃならない。でもそれが嫌いなソロプレイヤーは沢山いると思う。せめて赤の魔導書のとこまではソロでも辿り着けるように調整というか、そんな感じ」


「モフモフはそうか。じゃあラヴィちゃんはどうなんだ?」


 ラヴィがスワンの手元のモニターに手を伸ばしてモンスターをスライドさせていった。


「これ、僕はこいつを置いた方がいいと思う」


 テーブルの上に立体画像で表示されているモンスター、それは……


 ── 【ラ・ミラージ】 身体全体にグレーの布を被った人型のモンスター。このモンスターの特徴は、敵の姿を映し出す事。ただしその体型から、主に人間を相手にする事で最大の能力を発揮するモンスターである。相手を観察する能力が高い上に、基本的に複数で行動するタイプのモンスターなので、パーティなどがこのモンスターの群れを相手にした場合には、パーティメンバー全員をそれぞれが連携してコピーするので厄介である。モンスター属性は火、水、土、風、光、闇の6属性。ただし、モンスター自体のランクが50なので、それ以上の各属性が持つ特殊な攻撃は出来ない。モーションスキルのランクは、[ 45/ 99 ]各属性魔法のスキルランクは、[ 52 / 99]である。



 テーブルの上で回転しながら表示されているモンスター 【 ラ・ミラージ 】


「どうこれ? 結構厄介でしょっ」


 そう言ったラヴィを見て、モフモフうさぎがため息をついた。


「それ、俺やった事があるし」


「だな、あの時ラヴィちゃんは見ていなかったはずだ。ロゼッタの家の崖の下で、ロイ・クラウンを復活させていたからね」


 カチャ


 会議室のドアか開いた。


「お父様、お待たせしましたぁっ! とっても美味しい果実をリサが切り分けて持って来たの。冷たく冷やしたから、きっと気絶するほど甘くなってるわ」


 リサが給仕台に載せて運んで来たのは、復活の果実。芳醇な甘い香りが一気に会議室に広がった。


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