表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
291/467

19 オーブの世界

ガラオロス山の冒険 ep.19

「さっきのは無し。ドラゴンオーブはそれぞれは繋がっているけど今はバラバラに世界に散らばっていて、主人との出会い、そして目覚める時を待っている」


 これでいいかと言う顔をして、モフモフうさぎが言い換えた。


「もしかしてラヴィちゃんもドラゴンオーブの事を知ってるの?」


「うん、だからさっきの設定はまずかったよ。ってその説明をするとそれが現実になるかも知れないから言えないけどね」


 ドラゴンオーブ、それだけで人を狂わし戦争を巻き起こし人々の命をが失われて行く危険なアイテム。しかもドラゴンの王たるオーブが存在する設定などしてしまえば、人間とドラゴンの間で争いが巻き起こるなんて事が現実になってしまうかもしれないのだ。間違っても邪悪なオーブがあるなどという話しを口走るわけにはいかなかった。


「ドラゴンオーブは持ち主を選ぶんだ。だから持ち主と認められる為には、オーブと何度も話しをしなければならない。例え力のある者がオーブを手にしたとしても、オーブはその人を認めない限り真の力を発揮する事は無い」


「そうだったな、それにオーブを発動する為には物凄い魔力が必要なんだよな」


 リハクが手を挙げた。


「私から言わせてくれないか」


 そう言ってリハクは立ち上がると、胸のオーブを見つめて話し始めた。


「我らドラゴンと呼ばれる者は数多(あまた)存在すれど、知恵を備えた者はオーブの中にその身を封じ込めた。何故ならば、自らの力が世界を滅ぼす事も出来る事に気がついたからだ。その事はオーブのドラゴンの1人、知恵のドラゴンにより我らの知る事になった。そして遥か昔にドラゴンオーブに身を封じ込めた我らは、オーブの中の世界で自由気ままに時を過ごしてきた。しかし長い時が過ぎて、暫しの眠りにつく者も現れるようになった。後に続くドラゴンがいつになっても現れず、自分達が特別である事に気づき、存在の理由が何なのか知る事も無いままに」


 リハクの手の中のオーブの模様が消えた。透明な球の中に小さな炎が見えて、それを良く見ようとラヴィもリサもモフモフうさぎも吸い込まれるように炎を覗き込み……


 突然赤いマントでリハクがオーブを包んだ。


「こうやってオーブの中の世界に人を呼び込んで来た」


「はっ。今のって、やばかったって事」


 モフモフうさぎが現実に戻って呟いた。ラヴィは深い息を吐いてリサを見つめ、リサもラヴィの方を見てお互いがそこに居る事を確認していた。


「ドラゴンオーブとはドラゴンを呼び出す道具ではありません。本来はドラゴンの世界とこちらの世界を繋ぐ物で、ドラゴンの世界に人を呼ぶ物でした」


「それじゃあさっき言ってたラヴィちゃんが主人だとか言う事は嘘って事なのか?」


「モフモフうさぎ、どうやらこのオーブは色を消したようだ。こうやって話しながらも、次から次へと私は私が知っていた事を思い出している。ただひとつだけ変わらない事実があって、こちらの世界に来たドラゴンは呼び出した者に仕える定めであるという事。ドラゴンがオーブの中の世界に戻ろうと思っても、それが出来るのはドラゴンを呼んだ者だけだからだ。だから呼び出されたドラゴンは、呼び出した者を主として守るのである。主を失う事は、戻る手段を失うという事になるからな」


「リハクは戻りたいの? リサはそれが知りたい」


「私のこの世界での存在の是非は、主の一存にあるのです。ですが実はラヴィ様が戻れと言われれなくても、私はすぐにでも戻れます、なにせ物凄い力の流れ、ラヴィ様が力を使わずともこのオーブがラヴィ様の近くにあれば、私は帰る事も出て来る事も自在に出来るでしょう。しかし私はもっとこの世界を知りたい。知っているはずの記憶に新しい物を書き込んでいきたい。ラヴィ様、どうか暫し私がこの世界に留まるのを許してくれませんか?」


「ラヴィって呼ぶんだってリハク。じゃあ一緒に行こうか、実は俺もこの世界をまだ全然知らない。というか、作って行ってる途中みたいな……だよねっモフモフさん」


「すげー、まじでドラゴンだよなリハク。さっき俺が戦った、あの真っ赤なドラゴン。超強えヤバイ奴」


 ラヴィとリハクのやり取りを見ていたモフモフうさぎは、ドラゴンとその主人という関係を少し羨ましげに感じていた。とにかく仲間にすればとんでもなく強力なドラゴンの主人がラヴィちゃん。なんと言おうとそれは間違い無い事なのだ。


「この世界に出ていきなりお前のような強い人間、いやダークエルフに出会うとは、私も幸運だった。ライジングサンのモフモフうさぎ、頼みがある」


 リハクがモフモフうさぎの方に向き直して言った。


「このオーブを預かってくれないか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ