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17 ドラゴンオーブ

ガラオロス山の冒険 ep.17

「何、リサ?」


「リサの本当の目の色、好き?」


「あっ、わぁ、綺麗だ。初めて見る、本当の目ってそれ」


「そっちの赤い目の人に睨まれて、ローズの好きな茶色でなくなったの。とっても強くて怖い人が居るの」


 リサの言葉を聞いて、膝枕から身を起こしてあぐらをかいて座り直したラヴィは、改めてリハクを見た。リハクは何も語らず静かにひざまずいたままだ。


( 真っ赤な鎧、赤い髪、目玉も赤いって )


「あの、はじめまして。僕はラヴィアンローズと申します。こちらはリサ、そしてそっちに居るのはモフモフうさぎさんで……」


 モフモフうさぎが片手を振って自分の紹介を止めた。


「大丈夫だラヴィちゃん、俺はもう話はついてある」


「話?」


「あ、まあ、いいから。でっ 」


 モフモフうさぎが、話の続きをリハクに振った。リハクはモフモフうさぎに頷くと、静かに立ち上がり少し下がった。


「私の名はリハク、先程は失礼致しました。ローズ様とリサ様をよもや傷つけようとは微塵も思ってはおりません。なにぶん世間を知らず、世界を知らない辺境に住まう紅竜である私に、力を与えてくれたローズ様、紅竜リハク、光栄でございます」


 ローズはリハクが竜と聞いて立ち上がり、リサの手を取って並んで立った。


「あなたはさっきの真っ赤な竜なの?」


 リサがリハクに言った。


「はい、リサ様。緑による防御は見事でした、知らなかったとは言え我が炎を御身に向けた事、お詫び申し上げます」


 リハクが頭を下げた。


「ちょっと待ってリハクさん。あの、そもそも何で僕達を 『 様 』付けで呼ぶんですか? 」


 リハクが竜であるならば、存在が上位であるリハクから『 ローズ様 』や、『 リサ様 』などと呼ばれる筋合いは無い。むしろ人間であるラヴィやリサの方が、『 リハク様 』と呼ぶべきであった。


 リハクはラヴィの後ろの樹を見上げた。


「何の気まぐれか、私の御玉はあそこにあります。ローズ様がこの山に来られてから、凄まじい力が山に集まり聖堂に溢れ、それはこの場所にまで届きました。私の御玉もローズ様の力を頂き、竜の姿を現世に得て、今はこのような人の姿にもなる事が出来ております」


「まじか、あれって」


 リハクが見つめた樹の上の方を見ていたモフモフうさぎが、虹色の混じり合った赤の強い丸い玉を見つけた。ボーリングの玉程の大きさの真球が樹の枝の分かれ目に挟まっている。


「ドラゴンオーブ?!」


 モフモフうさぎが驚きのあまり、大きな声を出した。


 リハクがそれを聞いてコクリと頷いた。


「私は今モフモフうさぎが言ったように、あのドラゴンオーブです。ローズ様に集まる力の流れは果てしなく続いています。それは私が目覚めるのに充分すぎるほどで、つまりローズ様は私の存在の根源の力なのです」


 ── ラヴィに集まる力、つまりこのクエスト専用サーバーという世界の方向性を決めるフィルターの役目を持つラヴィには、常にMPと呼ばれる魔力が緑によって集められてきている。ラヴィの魔力は無限大。そして、ドラゴンオーブを目覚めさせる事が出来るのは、強大な魔力を備えた魔法使い……


 偶然が重なっただけ。ただその偶然がリハクを産み出したのであった

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