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139 3つの質問

 △▽△ △▽△ △▽△


「武器をしまいなさい。これは命令なの、隠れている黒い奴も出て来なさい、バレているんだから」


 ロイが花の回廊の真ん中辺りに誰か居ると言った瞬間に、右手に生い茂る白い花を咲かした植物に身を隠したアサシンのTAKA。


 声の主はおそらくダークエルフの事を黒い奴と呼んでいる。


 ナイトパンサーが隠れているTAKAに出てくるよう言った。


「私はこの花の回廊の主人よ。ここを通りたければ質問に答えなさいっ」


「我々はギルド " 夜の豹 " と申します。僕はギルドマスターのナイトパンサーです……質問とは何ですか?」


 ナイトパンサーが姿の見えない誰かに向かって答えた。相手は女の声だ、どこかで聞いた事のあるような……


「3つの質問があるわ、だってさっき見たのはそんなクエストのはずだったから。まず最初の質問よ、あなた達が1番好きな料理を教えて」


(料理?)


 顔を見合わせるギルドメンバー達。ゴニョゴニョとお互いの好物を確認しあったりしている。


「全員が同じ料理が好きなわけではない。その場合は?」


 ナイトパンサーが代表して言った。


「なら質問を変える。あなた達だけでなくて、一般的に誰もが1番好きな料理で、喜ぶ物を1つ答えて」


「カレー」


 と、ガルフが即答した。


「ラーメン、あっ、やっぱカレー?」


 と、AZニャン。


「だれもが好きと言われると……大体の人は好きだろうな、辛さは別として」


 スタンガンは辛口が好きだとロイに話している。


「あっ、僕もカレーでいいと思います」


「僕も同意見だ。TAKAは?」


 TAKAは頷いて声のする空間を見た。


「答えはカレーだ」


「そう、カレーって料理なら誰が食べても喜ぶのね。ちょっと待ってね、メモするから……」


(えっ?)


 姿は見えないが、おそらく質問をしてきている相手は今ポーチから手帳を取り出して、カレーとメモっている。


(何だ?このクエストは)


 何か言いたそうなガルフに代わってナイトパンサーが言った。


「あと2つの質問を聞きたいんだが」


 ナイトパンサーの想像では目の前にメモとペンを持った女の子が立っている。


「カレーって私が食べても美味しい?」


「それって質問か?」


「……」


「間違いなく美味しい」


「じゃあ、最後の質問よっ。誰もが食べて美味しくて凄く喜ぶカレーの作り方を今度教えなさい」


(もう質問と言うより、命令になってるじゃないか)


 誰かカレーを作れる奴は居るか? と互いの顔を見回す夜の豹のギルドメンバー達。


「しょうがないな」


 そう言って一歩前に出たのは、槍戦士のガルフだった。


「カレーは得意中の得意な料理だ。だが材料がこの世界で手に入るのかが分からない」


「大丈夫よ、お父様にお願いして用意してもらうから」


「クエストはもしかして終わりか?」


 ナイトパンサーが言うと


「もう行っていいわよ。でもカレーさんは少し残ってね、今後の予定を話し合わなければならないの。だから他のみんなは通してあげるから」


 姿の見えない誰かがガルフの方へ近づいて来る。


「もういいのよ、行っても。次はロゼッタ姉様のお屋敷だから……はっ! ち、ちがうの、早く先に行けばいいの。行かないとリサは怒るんだから」


(リサって言ったよね。この方はリサ姫?)


 空気の読める男達、夜の豹のメンバーがガルフを残して先に進んで行く。


「じゃあな、カレーさん」 スタンガン


「お疲れ様です、カレーさん」 ロイ・クラウン


「俺にも喰わせろよ、カレーさん」TAKA


「すまない、先に行くよ。僕は辛口が好きなんだ……カレーさん」


 最後にナイトパンサーが別れの言葉を告げて、彼等は走り去って行った、


「カレーさんは私がアクエリアに連れ帰ってあげるから心配しないでね」


「あの、姿が見えないんだが、ずっとこのままなのか? 姫」


「えっ、今なんて?」


「姿が見えないと都合が悪いと申しました、リサ姫様」


「どうして、ねえ、どうしてなの? カレーはどうして私がリサだ……」


 お決まりのセリフを吐いて姿を現したのは、紛れもなくリサ姫、お披露目会場に居るはずのリサ姫であった。

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