138 書架に並ぶ本
気を取り直して、隣の本を手に取った。
【間違って神さまが俺にくれたスキルが最強すぎて異世界を支配しました!】
(へぇ……)
次……
【悪役に飽きたので辺境の村で薬屋兼食堂をやってます】
【1兆分の1の確率で出るレアスキルが最強だった件】
【駄目人間と呼ばれて早五年、隣の吸血令嬢が僕の血を好きすぎて放って置いてくれません】
「題名だけで読むか読まないか試してくるよな。というかロゼッタってこんなのを読んだのか?」
(いや待てよ、これって現実世界のネットから引っ張って来た本だよな。アクエリアの公文書館に置いたら暇なユーザーがこれを読みにログインして来て、読書の時間をアクエリアの中で過ごす事が出来るじゃないか! 俺も夜は暇でしょうがないし……ロゼッタってネットも見てるし、映画も観たとか言ってたぞ。じゃあ俺も出来るじゃんっ!! )
小躍りしながら両手に取った本のタイトルは
【料理人が行く異世界グルメ旅。モンスター料理で世界を唸らす必殺料理人】
【レベル999999の俺が剣を振ったら魔界が壊れたので今度は魔王をやったら、やっぱり世界最強でした】
手に取った本のタイトルの下に小さく何か表示されているのに気がついた。
日刊ランキング2位、もう1つは年間ランキング1位。
凄くない?じゃあさっきのはたしか
【転生したら世界最強の勇者で赤ん坊の頃から意識があったので無双ハーレムを満喫中】
週刊ランキング3位。
(3位じゃん、じゃあこれを持って帰るか)
そう思ってパラパラとページをめくったら……たったの20ページ。赤ん坊なのに意識があるってとこまでの説明で、週刊ランキング3位、読み終わっちゃった。
(う〜ん、3歳ぐらいになるまで自由の無い身体で自我を保てるのかな?何日あるか計算もしてないんだろうね。俺は2日でギブアップだけど、辛抱強い勇者だよこの主人公は……現代社会の高校生が転生……お前、無理だろ)
気を取直して、取り敢えず俺は料理の本を持って帰ることにした。これならマッテオも読むかもしれない。俺も今夜はこれを読んでみよう。
「じゃなかった、早く帰ろう。リサがどこに居るのか見当がつかないけど……緑に聞きながら帰ればいいや」
大きな声で言ってみた。
(返事はないか……ロゼッタは知っているんだろうけどな。これは俺の問題だっ)
ラヴィアンローズは、ロゼッタの館から飛び出して行った。