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129 亡霊に勝てない

 クレアス担当争奪クエストの、最初のステージである


【幻の街角の亡霊退治】


 参加ギルドはアクエリアの街とは別の世界、つまり霧の谷ストレイと同じクエスト専用に用意された世界に移動させられていた。この場所はアクエリアとは連絡が取れないので、もしも別のギルドメンバーがアクエリアに残っていた場合でも、クエストの内容が伝わる事は無い。基本ログインしているギルドメンバー全員の参加が義務づけられているクエストであった。



 △▽ △▽ △▽



【2番目のギルドの皆さん、移動して下さい】


 アナウンスが流れてぞろぞろと控えの大部屋から出て行く8人の集団。それと同時に、アナウンスが再び流れた。


【先程の結果をお伝えします、ギルド スカルヘッドは、クエストチャレンジに失敗しました】


「なんだ失敗したのか、早いと思ったよ。だけどさっきのギルドさんて結構人数居たよね」


「どんなクエストか分からないよな」


【ギルド 幻影特区による、ファーストクエストチャレンジが、開始されました】


「始まった。どうなっているのか知りたいね」


「うちは6人だし、今やってるギルドって8人だったよね。参考になるかな?」


【3番目のギルドの皆さん、移動して下さい】


「えっもう? 早くね?」


「今、行ったばっかりじゃん。クリアしたのかな?」


【先程の結果をお伝えします、ギルド 幻影特区は、クエストチャレンジに失敗しました】


 アナウンスと共に、控えの大部屋の中はガヤガヤと話す声でいっぱいになった。15人で10分持たず、8人で2分ちょっと。単純に強いモンスターが出てきて勝てなかったという事か?


 次に向かうギルドは皆の注目を一身に浴びている。運が良いのか、40人以上の大所帯のギルドである。このギルドがクリアすれば、ファーストクエストは人数勝負という計算が成り立つし、人数の少ないギルドはほぼ諦めモードに突入するという事になるのだが……


 5分程でアナウンスが流れた。


【4番目のギルドの皆さん、移動して下さい】


 大部屋の他のギルドが固唾を飲んで次のアナウンスを待つ。


【先程の結果をお伝えします、ギルド BRUTUSは、クエストチャレンジに失敗しました】


 《マッテオ、どうなってんだ? 全然クリアして来ないじゃないか》


 ラヴィが専用チャットで連絡を入れた。


 《いや、だってあいつらヘボいんだ。なんであの程度の亡霊を倒せねぇんだ?》


 マッテオの言葉にスワンが横槍を入れる。


 《頭が痛い。亡霊クエストを選んだのは君だし、なんとかしてくれ。と言っても先にやったチームに不公平にならないようにね》


 かなり無理のある事をサラリと言って責任を押し付けるスワン。


 《おいおい、このクエストを作ったのはダーレだ? ってお前だろうがっ》


 モフモフうさぎが会話に混ざって来る。


 《あのさぁ、まともにMMORPGやってた奴なら今から戦闘するって時には、バフはかけまくるだろ。何人も聖騎士が居たのに、動く前に全員に青いオーラをつけるなんて当たり前なんだけどな。トーシロばっかりじゃん。基本なんだけどなぁ》


 《モフモフさん、青いオーラじゃなくて聖の衣だよ。まあ青オーラでもいいけど》


 ラヴィが突っ込みを入れる。


 《うさぎ、お茶が入ったわ。暇すぎるからゆっくり待ちましょう》


 《えっ、今の声ってロゼッタ? モフモフさんこき使われているって言ってたのに、なんか違うんじゃない?》


 ラヴィがそう言うと、横からリサがラヴィを押しのけて口を挟んできた。


 《お姉様、お姉様、リサもお茶が飲みたいの。モフモフうさぎだけずるいっ。リサのロゼッタお姉様なのになぜなの? なぜモフモフにお茶を入れてあげるの? いつもはリサに入れてくれていたのに……リサもそっちに行くっ。ガタンッ》


 リサがどこかの部屋から出て行く音が聞こえた。


 《ちょっと待てっ、おいっラヴィちゃんリサを止めろっ、ラヴィちゃん、おーい、ラヴィちゃんっ》


 ラヴィの返事も無くなった。


 《ガタンッ、あ〜こちらラヴィ。リサを見失いました。というか光学迷彩で姿を消されてもう見つける事は不可能でありますっ!》


 どうやらラヴィちゃんだけが帰ってきたようだ。


 《リサがどこに行ったのかは分かっている。ロゼッタ、モフモフうさぎ、そっちにリサが行くから戻るように……というかさっさとお茶を終わらせて追い返してくれ》


 スワンがそう言うと


 《わかったわ。あの子をローズの所へ返せば良いのね、可哀想だけど私はうさぎの面倒を見なければならないし、しょうがないわ。リサが来たらお茶を持たせて直ぐに帰らせるから》


 《……えぇっ! ロゼッタ、砂糖入れすぎだって、まだ入れんのっ、ちょっと、ちょっ……》


 ロゼッタとモフモフさんは仲良くやっているようだ。


 《ローズの分も持たせるから、心配しないでね》


 もしかして甘いのかな? ぐらいにしかラヴィは思っていなかったわけで……

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