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126 クレアス争奪ギルド対抗戦

 マッテオの頭上にある4面の巨大なスクリーンの映像が切り替わった。最新のCGを使った演出は音と映像がリンクして、まるで映画を見ているようだ。


 映し出された映像は、カッコイイ鎧に身を包んだ剣士が画面を走り抜け、体全体を隠す程の大きさのカイトシールドで矢を弾き、敵を切り抜けていく様子が映し出された。


 場面は変わり、戦乙女が映し出される。彼女は右手に持った彼女の背よりも長いマジックワンドを掲げて、魔法を詠唱している。


 集団で襲ってくる敵全体に雷の範囲攻撃を喰らわして、すぐさま次の呪文の詠唱に入る。範囲攻撃で撃ち漏らした敵に対する攻撃魔法、無属性の衝撃波が杖から放たれると画面がぶれるように揺れて、まるで実際にこの戦いがどこかで行われているかのような錯覚に陥ってしまう。


 職業を剣士や、魔法剣士にしたユーザーの目は画面に釘付けだ。何せまだ見たこともない武器や防具を装着している様子が映っている。


 凄まじい魔法の威力と、連続して魔法を放っている戦乙女の戦い方を、いつか自分もやれる日が来る。あんな魔法の杖を手にする事が出来る、そう思うだけでワクワク感が止まらないのだった。


 会場を煽るように、各クラスの進化した姿を戦いの場を使って披露した後に、文字が現れた。


【クレアス争奪ギルド対抗戦】


 文字のバックに燃え盛る炎が映し出されて、なぜか最後には肉を焼いている場面が流れている。


「あれ完全に自分とこのコマーシャルだろ」


「ここまで来てやるかぁ、あんなこと」


 文字の後ろが完全に肉屋マッテオのステーキのアップになった所で、マッテオがマイクを取った。


「場所はここじゃ無いぜ、今回の為に用意した特別なフィールドに行ってもらう。


 本来ならばギルド対ギルドのPvPをやって貰うんだが、まだ装備もおぼつかないし、小さいギルドにもチャンスをやろうと思う訳だ。


 という事で、PvPは次回からだ。クレアス担当ギルドはこの世界で28日の契約だ。29日目に希望ギルドと現職のギルドとの対抗戦を行って、勝った方が次の担当ギルドとなる。


 予選会は7日、14日、21日の3回に分けて行うからな。21日に7日と14日に勝ち抜いたギルド同士で予選決勝を行う。まっそんなとこだ。


 それから……今ブーイングが飛んだ俺の店のコマーシャルだが、金さえ払えばあの枠を買う事が出来るぞ。


 最初に流した戦いの場面、あそこの枠は切り売りだ。ギルドの勧誘に使ってもいいし、何か伝えたい事があれば効率良く伝える事が出来る。例えばレアなモンスターの目撃情報を求む、なんてのもありだしな。


 使い方は色々だ、ただし最後の場面を使えるのは担当ギルドだけだ。しかもタダ」


 長々と喋るマッテオにとって、もしかしてこういう場所は天職なのかもしれない。何せGMのピクシーが殆ど喋っていないわけだから。


 散々話した後に、マッテオ会長、いやマッテオ総統は拍手をしながらステージを降りた。見事な演説に会場からも盛大な拍手が送られた。


 《さてっ、俺のここでの仕事は終わったぜ、スワン》


 《完璧だっ、素晴らしいよマッテオ。びっくりした、そこまで場慣れしているとは…… オープニングを任せて間違いなかった。本当にありがとう》


 《凄い才能だな。マッテオ商会がでかくなったのも分かったよ。あんた凄いぜ》


 スワンと、モフモフうさぎと、ラヴィ専用の回線にマッテオも加わっていた。マッテオが言葉に詰まったら助け舟を出す予定であったが、全く必要無かった。


 《そっか、モフモフも今度やってみろよ。気持ちがいいぞぉ》


 《いや無理》


 《お疲れ様〜、マッテオさんカッコ良かったよ》


 《おっ、ラヴィちゃんか。もうリサは行ったのか?》


 《うん、ロゼッタもスタンバイしてる。マッテオは1番最初だから休む暇が無いね》


 《別に俺が操作しなくてもいいんだろっ。たまたま、あのクエストの担当が俺だったってだけだし、ラヴィちゃんもやってみろよ》


 《えっ、いいのっ? スワン。あの極悪非道クエスト…… じゃなかった、誰々を救えクエスト》


 《現場は任せるよ。でも最初から弾くのは出来るだけやめてくれ。それと、クエストの様子は会場でリアルタイムで流されるから、注意してくれよ》


 《よっしゃ、楽しみ〜。先に行くよっ、マッテオ。あの通りの突き当たりのアパートの3階の部屋で待ってるからね〜》


 《待て、待て、待て、ラヴィちゃん。あんたはリサのところに行ってくれないとまずいだろ。リサが暴走したら誰が抑えるんだ?》


 《……》


 《という事で、ラヴィちゃんはリサの所な。モフモフはロゼッタの側に。こちらは居ないと怒るだろうからなぁ》


 《下僕扱いだぜっ俺って。こんなはずじゃなかったのに〜》


 どうやらラヴィも、モフモフうさぎもクエストが行われるフィールドへ移動を始めたようだ。彼らはアクエリア噴水広場にある、ラヴィの家の2階のとある鏡を使う。


 マッテオは、一旦城の中に戻ってスワンの用意したゲートを使ってクエストの会場、初めてモフモフうさぎとラヴィアンローズに会ったあの街並みに移動して行くのであった。

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