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82 嫌な予感

 足りない物を取りにアクエリアへ帰って来た。


 別に寂しくなったってわけでもないし、リサの声が聞きたくて帰って来たってわけでもない……なんて言ったら怒られるかな。


 ただ、たくさん足りない物があるんだ


 "ギターが欲しい"


 残念だけど俺はピアノが弾けない。ピアノが弾ける人を見ると、素敵だなって思うんだ。


 あとさ、凄く凄く、炭酸が飲みたい。味は憶えているのに、炭酸水が無い。だから今からスワンの所に行って、アンタレスに導入するように言ってくるんだ。


 2日振りに帰ってきたアクエリアの街、日が経つのが早くなって、以前ならばまだ1日しか経っていないはずなのにもう2日経った。まあ、それはいいけれど1人でテレビも無い夜を過ごすと色々考える事ばかりだ。


 あーすれば良かったとか、後で言わないように思いついたらやってみる。でも、自分が知らない事は外から持ってきて欲しいんだ。データでいいから持って来て欲しい。


 今更だけどさ、1人になるって考え事が増えるよ。


 △▽ △▽ △▽


 スワンに連絡をして、トボトの町の池からアクエリアの噴水広場に帰れるようにゲートの向きを変えてもらった。


(やっぱり街だな、トボトと比べると都会……じゃない、都市だし人が圧倒的に多い。緑も街のあちこちにに溢れていてアクエリアは素敵な所だ)


「さて、スワン様はどちらにいらっしゃるのかな」


 すぐそこにアパートがある。1回帰ってお茶でも飲んで行ってもいいけど、そのへんの水でもコップに汲んでコップの中身がコーヒーだって思って飲めば、俺の能力の影響なのか、コーヒーが飲めてしまう。ただ味気がない、透明だしね。やっぱりちゃんと誰かが淹れたコーヒーが飲みたいって思う。


 《スワン、今アクエリア。どこに居る?今時間ある?》


 なんともうメールなんて面倒な事はしなくて良くなったんだ。スワンとダイレクトに連絡が出来る、どうやらスワン達GMが、今更になってダイレクトグループチャットを始めたらしい。


 まあ昔は同じ部屋でパソコンの前に座って、その場で話しながらやってたんだから、GM同士でチャットなんて必要なかったんだろうけど、バーチャでゲームの中に入り込んでいる今は必要だよ。


 スワンがチョメチョメして俺もそのチャットを聴くことが出来る様になったんだ。ただ話すのはNGなんで聴くだけだけど。スワンと話せる回線も別に用意してくれた、こっちはモフモフさんも参加出来る。というか、この前の夜からモフモフさんと会ってないけどね。疲れて寝たのかな?


 《ラヴィちゃんお帰り。今、噴水広場かな?こちらベルクヴェルク討伐隊本部です。今、作戦行動中で動けない。今夜はベルクヴェルクから目が離せないんだ、悪いが会うのは明日、時間が出来てからでいいかい?》


 《それは大変だな、お疲れさまです、父上。じゃあ俺はお城に行ってみるよ。リサのお披露目会ってまだやってるよな。俺も参加するぜー》


 《もう時間的に終わってるぞ……父上って。それから城には入れないぞ、許可証が必要だ。僕が発行するんだけれど、ラヴィちゃんには発行出来ないな。大事な娘が襲われたらたまらんっ》


 《……けちっ。じゃあ今夜はマッテオの店にでも行って来るよ。また明日連絡するねっ、じゃあねー》


 《了解》


 という事だ。あと8時間から10時間フリータイム。その間6時間の夜があるけど、何をしようか?寝るかな……いやいやリズムが違う、寝るのは2日に1回で足りてる、昨日寝たから今夜は寝なくていいや。


(何しよっかな?)


 ぷらぷらお散歩するも良し。どっかに座って本でも読みたい気分だけど、本が無い。この事もスワンに言いたかったんだけどね。


 ⁂ ローズ……ローズ・・聞いて、ローズ ⁂


(あっ、この声は。花、植物、つまり緑からの声だっ)


(ローズ聞こえる?私は噴水の池の中の水仙、聞いてローズ)


(こんにちは、水仙さん。はじめまして、私はラヴィアンローズ、どうしたの?)


(ローズ、気をつけて。水の中、遠くから伝えてきたの、近づいてる。どこかに居る。もうこの街に入っている。みんなに聞いて、どうか急いでっ。危ないの。変な臭いがしたって。それは駄目な臭い。ローズ、あなたが頼り。私たちに力を貸してっ)


 鳥肌が立った。


 嫌な予感がする。俺に話しかけた目の前の水仙を見ながら、この街の大切な物を数えていった。

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