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18 掘って掘られるって?

 街を仕切る影の三人組、彼等の正体はアンタレスONLINEのエメラルドサーバーを管理するゲームマスター、略して 《GM 》 なのであった。


 △▽ △▽ △▽


 ラヴィとモフモフうさぎ、そしてロビーの3人は、やっとアクエリアの街の中、レンガが敷き詰められた大通りを歩く事が出来ていた。


(凄いなぁ、本当に細部までしっかり作られているじゃん。見たところ、この辺りはお決まりの中世ヨーロッパの古い街並みを再現したものだ。どこの国系かな? よくわかんないけど)


 今風に言えばインスタ映えする景色が当たり前のように溢れている。そして凄い事があって、人々が普通に生活をしているって事だ。


 AIが搭載されてそれぞれが独立したNPCは、敢えてプレイヤーと区別がつかないように、プレイヤーと同じネーム表示が頭の上にされている。だから、自分達と同じ冒険者かと思って近くに寄って行くと、普通にこの世界の日常会話をしているのが聞こえて、そこで初めてNPCなんだって気がついたりする。


 3人が歩く通りの両側に、酒場、飯屋、道具屋、宿屋などが増えて来た。街の外周部にあるこの通りには、新参者が利用する安っぽい店が軒を並べ、客を呼び込む人々が通りに立っていたりしていた。



──────────────────

 モフモフうさぎ>ラヴィちゃん、キョロキョロしすぎ


 ラヴィアンローズ>いやいや、モフモフさんもだろっ


 白刃のロビー>こんにちは〜


(あっ、ロビーちゃんが文字チャットで店先のNPCに話しかけた)


 アポロンビターン>やぁっ、お嬢さんなにか用かい?

──────────────────



(えっ? 声で返事した。このNPCって普通に喋れるのか!)


 俺とモフモフさんも会話に加わろうと、NPCに合わせてチャットを繋ごうとした。



──────────────────

 白刃のロビー>NPC?


「なにっNPCだとっ! まだ声で喋れないくせに随分な物の言い様だな。ケツの青い姉ちゃんよぉ、オメェなんぞに用はねぇ、明後日来なっ!」

──────────────────



 アポロンビターンは去って行った。

 ── 呆然とした三人。



──────────────────

 モフモフうさぎ>マジか


 ラヴィアンローズ>すげぇ


 白刃のロビー>コロス、あのダサ坊


(えっ、なんつった? ロビーちゃんがコロスって)


 白刃のロビー>みんなパーティー組もうよ、モフモフさんもそろそろメモのお話の続きがあるでしょ


(わおっ、ロビーちゃんの素が垣間見えた気がしたぞ)


 モフモフうさぎ>そうだった。いい加減聞いてくれー


 ラヴィアンローズ>掘るより掘られる方がって話だっけ?


 モフモフうさぎ>ちがーう、身体の動きのシンクロ率の話だよ!

──────────────────



 △▽ △▽ △▽



 スワンは、ラヴィアンローズ達の現在位置をマップで確認しながら進んでいる、それと同時にラヴィアンローズのログも辿っていた。



 OL /UN @ラヴィアンローズ

 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

 >もうちょっとそのままでいいかな?


 >次いくよー、はい動かないでね


 >いいよっ、そうそう


 >はいっ、お互い見つめてっ! オッケー、いいね、いいねっ


 >ロビーちゃん、よそ見しない、いやっ、それもいいっ


 >いやいや、モフモフさんもだろっ


 >すげぇ


 >掘るより掘られる方がって話……

 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


「なあ、ちょっと聞いてくれる」


 スワンは歩みを止めて、一旦店と店の間にある路地に身を寄せた。


「なんだ?」


 面倒臭そうにRが返事をした。


「小声で話すから」

「わかった」

「了解」


 狭い路地に無理やり3人がひっついてごそごそやり始めた。側から見ると、物凄くアブナイ男3人が居る。


「あのラヴィアンローズの会話のログのリンクをカルとRにも繋いだから、見てくれないか」


 スワンが言った後、少し時間を開けてRがログを読んだのか腕を組んで言った。


「見たぞ、本当のあっち系か? 」

「周りも同類なのか? 掘るとか掘られるとか言ってるぞ」


 カルがRの尻を触ろうとする。


「このまま放置でもいいんじゃないか、こんなの」


 カルの手から逃げながらRが言った。


「いや、それは出来ませんけど。真性の〇マでしょうね。凄く楽しそうに話をしてますし……」


 3人で顔を寄せて話す。


「刺激しないように発言に気をつけような」

「了解です」

「俺喋らんわ、ボロ出しそうだから。音声切っとく」


 Rが口にチャックを閉めるフリをしてみせた。


「基本、俺が話しますから、では行きましょう」


 スワンは真性のネカマ、《ラヴィアンローズ》とのお詫び交渉の第一歩を踏み出したのであった。

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