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72 宿場町トボト

「ぶっ!!」


 トボトの町の出口ゲートから出たら、そこは池の上だった。


 俺は落ちた、見事にドボンッと。


「ひっでぇ、何の嫌がらせだよ。出口が池の真上なんて、わざとだろっ」


(そう言えば、リサと俺を見るスワンの恨めしげな目。あいつリサとロゼッタから、お父様、お父様って呼ばれてちょっとその気になってたに違いないっ。俺にリサを取られた腹いせだよきっと。今度会ったらもっとイチャついてやるわっ!)


 まあ、大して広くない綺麗な池だったから良かった。


 周りを見渡すと、土壁の小さな家屋がポツポツと点在していて、冒険者が出入りしているのが見えた。池ぽちゃした俺の事に気がついた人もいるけれど、はしゃいで飛び込んだバカをチラ見して、取り合ってくれる素振りも見せない。


(忙しいんだよ……だけどみんな、つれないね)


「くっそー濡れたぁ。あいつらと違って俺はリアルなんだぞっ。あー冷てぇ」


 池から出て、どんな家が建っているのか見て回る事にした。規模で言うと町の真ん中に街道が走っていて、その両脇に町が広がっている感じだ。俺が落ちた池は町に入ってすぐ左にある小川の側にあった。小舟や桟橋も見えて、川沿いに道も続いている。


 池の周りや、小川のほとりに生えている植物に話しかけてみた。


(こんにちは)


(さわさわさわ……誰?)


(僕はラヴィアンローズ、ラヴィって呼ばれてるよ。君達の仲間なんだ。だからお話ができるんだよ)


 俺の力? が伝わった草花達、初めて話すわけだよね。


(ねえ教えて、この近くにゴブリンはいるの?)


(居ないよ、ラヴィ……サワサワ……この近くには居ないよ)


(うん、ありがとう)


 ゴブリンのイメージは俺から伝わっている。見た事が無いらしいから、まだこの辺りにはゴブリンは居ないようだ。


 スワンからの指令。それは、ベルクヴェルク討伐隊の前線基地としての町を作って欲しいという事だ。何千人規模の人員を駐屯出来る宿泊施設の設営。関連する食堂、レストラン、カフェ、まあなんでもいいや。とにかく食べる所。ここでガッツリ美味いものを食べて、アンタレスの世界でしか味わえないバーチャルの醍醐味を味わって頂こう。全ての味覚の基本は俺の舌の記憶なんだけどね〜。


 街道は北に伸びている。多分町の真ん中辺りで少し右に曲がっているかな。ここからじゃ建物が重なって見えてよく分からない。


 そうそう、今俺は変装中なんだ。顔の薔薇が目立ち過ぎてどこに居ても俺ってバレてしまう。今後何が起きるか予想もつかないから、極力素顔を晒すことは避けて動くようにスワンから言われた。


 リサの糸で顔の見た目を変えた。知的な眼光の鋭い、仕事の出来る男の顔だ。


 早速すぐそこにある建物から調べて行く。基本空き家。店にはNPCが配置されている。ギルドクエストはその辺の店がそれぞれ発行してるし、アクエリアの公文書館の支部もどっかにあるって話だ。


 町の見た目はバロック建築、たぶん。スワンから貰った携帯端末を見てると、各建築様式のジャンルが分かれていて


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 ロマネスク

 ゴシック

 ルネッサンス

 バロック

 ロココ

 アジア

 日本


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 って分類されている。アジアと日本って、凄い軽く扱われている気がするんだけど、アクエリアの街はこれで見るとゴシック建築なんだよな。


 さてさて、どう取り掛かるか。取り敢えず近くの山にでも登って上から見てみるとするか。

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