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71 スワンの依頼

 心地よい雨音だった。公文書館の玄関に立つと、いつの間にか外は雨が降っていた。


 スワンから、アクエリアからベルクヴェルクに向かう街道にあるという、トボトという名前の宿場町の整備に向かってほしいと依頼された。


 その後のレクチャーはなかなか大変だったけれど、スワンの持つ携帯型端末を渡されて、晴れて俺もGMの仲間入りという訳だ。町が作れる携帯型端末の使い方を教えてもらったんだけれど、まるで町造りのゲームと一緒、元々ある建物を配置していって中の構造も適当に変えていける。むふふふふ、好きな場所に家が建てられるって事だ。


 スワンの背後で、お披露目会の様子を映すモニターを見ていたリサも、どうやらしっかり聞き耳を立てていた様子で、髪をポニーテールに束ねながら嬉しそうな顔しているのが見えた。


 ただし、今回リサはお城に戻された。名残惜しいけどね。


 記憶が戻ったリサがあの時の事を話して来ないので、少し変わったリサって感じがしている。俺も変わったんだろうね。お互いそれで、ちょっとギクシャクしてる感じだ。


 リサが俺の事をローズって呼んで、側にくっつくのを見てたスワンが、ため息をついていた。


 今お披露目会でリサを演じている本物のロビーちゃんは、どこかでやっぱり現実世界の生活に戻る必要がある。モフモフさんが今ログアウトしていて、多分寝ているんだろうけど、それと同じことで俺たちみたいにこの世界にずっといる事はロビーちゃんには不可能なんだからね。


 俺と一緒に行きたがるリサに、その事をスワンと一緒に説明したら、渋々リサはお城にスワンと帰って行った。帰りたく無い理由は推して知るべし。


(……怖いお姉様が待っているからなぁ)


 スワンからゴブリンの事も聞いた。まあ、俺もそこの壁に貼ってあった写真を見たし、AI搭載のゴブリンの集まりってのが、要するに脳みその詰まった自分で考えて動く面倒な存在だって理解した。街で募集しているベルクヴェルク討伐隊の先発隊がほぼ全滅したって言ってたし、そんなことを聞いてリサを連れて行くなんて出来ないと思ったんだ。


 それから、今俺が住んでるアパートの2階の部屋の鏡が、あの街角の家の中の扉とリンクしてるって事も聞いた。時間が取れたら、そこからまた花の回廊に行ってみようと思うんだ。


 その時はリサも一緒にね。


 まぁ、という事で俺は出かける。なんとなくアンタレスでの冒険らしい始まりかな? 行き先の座標は [9700.-327]だ。噴水公園のゲートからこの座標を打ち込めば、そこに出口のゲートがあるらしい。未だ一方通行なのは、基本的にゴブリンも通れるからだ。


 AIを搭載したNPCは、ゲートを利用する事が出来る。そう、つまりゴブリン達はNPC扱いだって事だ。


 そもそもアンタレスの世界で、街から街に自由に移動出来るゲートの設置はしないって方針だ。あくまでクエストフィールドへの転送にしか使わない。あとは歩けって事で、移動手段をそのうち追加して、課金して頂くことにする予定だそうだ。


「俺はどうやって帰って来ればいいんだ?」


 って聞いたら、メールしろってさ。そうしたらゲートの入り口と出口を入れ替えてくれるって。自分で出来ればいいのにと言ったら、俺とリンクしているこの端末じゃ、そこまでの機能は付いていないって言われたんだ。


 行くのは手ぶらで。マッテオさんの店のステーキを食べてから行きたいんだけど、結構急ぎらしいからまた今度だ。


 さっ、トボトってどんな町だろうね、行ってみようか!

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