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67 ベルクヴェルクのゴブリン

 夜陰に紛れて一斉に姿を消していくゴブリン。


 ベルクヴェルク偵察隊が敗走した翌日のことだった。


 ゴブリン達は、ベルクヴェルク偵察隊を撃退した。しかし、取り逃がしたエルフどもにかなりの人数の仲間を殺されていた。仕留めたエルフも、殺してしまうと姿が消えてしまった。生きて捉えたはずのエルフも姿がない。


 ゴブリンが馬鹿ならそこで終わっていたであろう。しかし彼らは人よりも理知的で、その考え方はコンピュータ寄りであった。ブレも迷いも無い、ただ襲い奪うという植え付けられた本性に従い、手にした情報を分析した結果、行動を起こしたゴブリン。


 ベルクヴェルクはガラ空きの都市と化していた。


 * * *


 ともすれば1人残された森の聖堂に、迷いを植え付けようとしている。先程は夕陽が差していたのに、今は壁の文字に這わせる指すら見えない。メガネが欲しいな。薄っぺらな紙に描かれた赤い印。未だ全容が見えない。 "巨大なハンマーを持っている" 、そう言い張る彼について来る者はもう誰も居ない。金髪の髪の毛をトサカのように立てた男がやって来て、あれ全部血ですと言う。赤から赤黒く変色した血。(まどか)どうしたん? 境界線がどうのこうのと。波出ますよねっ? 打ち上がり……それが良い、真剣に受け取るけんな。


 * * *


 精神が壊れかけの男、もはや誤魔化す事も出来ない。


 アクエリアの街の地図、ベルクヴェルクから繋がる街道とその周辺の地形。アクエリアの郊外の聖堂の秘密。


 巻物としてのアイテムを作成している。


 アクエリアに居るプレイヤーと、GMと呼ばれる無敵モードの隊長に率いられるベルクヴェルク討伐隊の存在。プレイヤー達が持つ魔法アイテム、武器、それを装備している場合は捉える事が出来ない事。つらつらと書きまくった巻物を、ベルクヴェルクの街の適当な座標に投げ込んだ。


 ひと仕事済んだ男が、モニターの前から消えた。


「悪いのはあんたらだし、頑張ってやったのに。分からないあんたらが全部悪いし。まあなんかあっても俺のせいじゃ無いし、俺がされたら絶対許さないけど、俺がやっても良いよね。俺嫌な事があっても明日には忘れる人だしさ」


 誰が聞いているのか、全て嘘で固めたキチガイの話。エレベーターの中でも、声の大きさを制御出来ない気持ち悪い生き物は、この日を境に姿を見せなくなった。


 そして……


 ゴブリンどもは動き出した。獲物であり、敵。それがアクエリア。アクエリアに居る者を皆殺しにしろ。


 的確に、効率的に、殺られる前に殺れ。

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