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65 ロビー、リサになりきる

「さあ、しっかりしなさい、ロビーのリサ」


 アクエリア城の城門広場に通じる扉の内側に、私達は居る。私達、つまりロゼッタとリサ……リサに化けた私だけど。


 私のドレスを後ろから直しながら、ロゼッタが言ってきた。


「はいっ、お姉様。リサはしっかりしてるの、だから心配ないの」


「上手、立派よ、凄いわ、天才かも」


 手をパチパチしながらロゼッタが褒める。褒められて嬉しくなる私。


(なわけないだろっ! こんなめんどくさい話し方をしないといけないなんて……とほほ)


「質問、なぜロゼッタは僕にこんなに優しいの?」


「違うわ、ロビー、そこはこう言うの……お姉様、ねえ、聞いても良い? リサ知りたいの、いつもはとってもリサに厳しくて自分には凄く凄〜く甘すぎるお姉様が、今日はどうしてリサに優しくしてくださるの? リサ少し疑問なの、ちょっと不安なの、後で何かあるんじゃないかって、そんな気がして来たの」


「正解よリサ、後で何かあるわ」


(ぐはぁ、自分で全部言った)


「後で何があるか教えてよ」


「嫌よ、ロビーがそんな話し方をする限り教えてあげない。今、お手本を見せてあげたでしょう。ちゃんとやったら教えてあげるわ」


(あー、背中が気持ち悪いっ! 王子、あたしの王子様はどこっ?)


「早くしないと始まるわ、急いでロビー。あなたがちゃんとしないと始めるわけにはいかないのよっ」


 鏡に映るクリムゾンのドレスを着たリサの姿。正直とっても綺麗で優雅だし、リサが可愛くて守りたくなる愛らしさを持っていて……そりゃ、そこらの男がころっとリサになびくのもわかる。


 わかるけど……


(中身はあたしだよっ。ああもぅ、中身は僕なんだ。どっちだよ? リサだよっ)


 ロゼッタも姉妹なんだから、たぶんというか絶対美人、美女、超絶可愛いとかに決まっているんだけど、赤黒の泣き顔仮面のせいで誰もその素顔を見た事が無い。そのせいか、ロゼッタには人を寄せ付けないオーラみたいなのがある。姉妹でありながら、ちょっと強いお姉様。


「はぁっ、はぁっ、なんでしたっけ? お姉様。リサはリサを演じる事に精一杯で、心に余裕が無いのです。どうか、お許しを……」


「ダメ」


(終わった〜、もうダメだ、もういい、僕は、僕は、僕は、僕を捨てるしかないんだぁっ)


「わかったわ、いいえ、リサはわかったの。ロゼッタ姉様、リサは完全にリサなの、今生まれ変わったの、いずれ現れる王子様と結ばれる為にロビーをキッパリと棄てたのよ。さあ、行きましょうお姉様。リサ頑張るんだから」


「……」


 首を傾げてリサの後を追うロゼッタ。


 いつもは後から登場するリサが先に城から出て来て、歓声が起こる午後のお披露目会場。なぜか朝よりも人が増えている。朝は閑散としていて、早々に休憩となり午後に再度再開するとなっていたのだが……

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