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52 危機回避能力

 ゲートBも、ゲートAと同じく森の中に設置されており、違いがあるとすればそれが倒れた巨木であった事だけだ。


 今は先程とは違い、月明かりが差している。


 ロイはゲートBから姿を現すと、辺の明るさに気が付いて即座に身を伏せた。目だけを動かして様子を伺う。この森が途切れるところはもう目の前にベルクヴェルクの城壁が見える街道越しとなる。


(目の前に広がる森がどれくらい続いているのか?)


 ロイの目の前に、周辺のマップが浮かび上がる。先程配られた周辺の地図は、ロイ自身が扱うマップにリンクされたので、ロイが意識さえすれば視界の端にマップが表示する事が出来た。


(この森は奥が深い、今俺が居る場所は森の外周に近い場所だ。ベルクヴェルクはこの森の途切れる山に隣接して作られている。ここからほぼ10km森を走れば街に辿り着く)


 ゲートBの周辺もゴブリンの脅威は無かった。同じくゲートCも森の中で変化無し。最後にゲートDにロイは向かった。


 ゲートD、マップを見ていたロイが1番緊張して転移した場所である。マップの上では森ではなくなだらかな丘陵地帯、あまり背の高い樹木も無くて身を隠す場所も少ない。


 ロイが姿を現したのは、地面からボッコリ顔を出した大岩の側。月が大岩を照らし伸びた影の中にその姿はあった。


(ビンビン感じるぜ、やべぇぞここは)


 森の中と違って虫の鳴き声がしない。風が草木を揺らす音がするが、ロイの耳にはその風に乗って人の話声が聞こえていた。


(待てよ……ゴブリンって夜行性じゃなかったっけ? だとしたら時間をずらした方がいいんじゃないか)


 ロイの中の危険フラグが立った。即座にゲートDである大岩にアクセスする。


 ロイの姿が消えた。


 物音ひとつ立てず、気配は一切感じさせなかったロイに気づくゴブリンは居なかった。アクエリアに続く街道を上から見下ろせる丘陵地帯、そこには多くのゴブリンが監視で配置されており、すぐ近くの西向きの斜面にも5人のゴブリンが居たのだ。


 危険察知能力のスキルは、ロイが意識する事がなくとも、ギルドのパーティーでの移動時に上がっていた。


 未然に危険を回避する……その他の能力も他の冒険者よりも高いロイであるが、その特化された能力はゴブリン達の牙城を切り崩す、鋭利なナイフのようであった。


 ▽△ ▽△ ▽△ ▽△ ▽△ ▽△


「おっ、早かったな、ロイ。ゲートDはどうだった?」


「エリック隊長、あぁ、あとポール隊長とピクシー隊長、ゴブリンだけど……あいつら夜行性だろっ」


 ロイが言った言葉の意味を3人は考えた。GM3人、それぞれが元々オンラインゲームの猛者であった経歴の持ち主である。すぐにロイが言いたい事を理解した3人のうちのエリックが話し出した。


「見たのか?」


「いや、でも確実に居た。俺は偶然にも風下だったし影の中に出たんだ。ゲートDの場所が悪けりゃ見つかってたと思う」


「すまんな、危ない橋を渡ってもらった。確かにそうだ、ゴブリンは夜動くな。昼間は洞窟とかに引っ込んでいて姿を見せないもんな。確か俺も真昼間に洞窟に突撃した覚えがあるよ。それはアクエリアでも変わらないか……ポール、ピクシー、どうする? 夜陰に紛れて行動するという前提条件は崩れたぞ、俺は昼に動く方が良いと思うが」


「俺も賛成だ、だがゴブリンがゲートDの近くに居た。それは間違いないことなんだな」


「あぁ、マップを見てくれ。ゲートDの場所とアクエリアからベルクヴェルクに向かう街道の位置、ゲートDは小高い丘の上にあったんだ。あそこからなら街道を監視するのに最適だ」


 ロイの言う通りマップを見た部隊長たちは、ロイに休むように言うと今後の行動の話し合いを聖堂の中で始めた。


 ロイが所属するエリックの部隊に戻ってきた。

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