表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/467

16 緊急依頼

 その頃、アクエリアの公文書館にあるGMの管理室は慌ただしくGM達が動いていた。


「スワンっ、さっき帰って来いって指示を出した奴がモンスタートレインを起こしている。どんどん規模が大きくなっているぞ」


 ハンマーボキッが映るモニターを監視していたハルトが叫んだ。それぞれが持ち場のモニターの前で異変に気付く。


「こっちに居たタミメータが一斉に走り出したの。多分そっちに向かってる」


 天井のスピーカーからソフィーの声がした。


「おいおい煽りを喰らって、こっちのプレイヤー達がやられたぞ。固まって居たグループが全滅した」


 ピクシーが見ているモニター画面は、ゲートから直線距離で約2キロ程の場所にある開けた草原、奥に探索に出掛けた冒険者達の集合するのには最適な場所だった。ハンマーボキッは、見事にこの場所を突っ切って行ったのだ。


「どうするっ、スワン? このハンマーボキッ、やられそうになると他のプレイヤーにモンスターを擦りつけて、上手いこと生き残って来ている。これでいいのか?」


 ピクシーからそう言われて、頭を抱え込むスワン。


(どうして人が絡むと上手くいかないんだ? ここに帰って来て何があったか報告してもらう、ただそれだけじゃないか……)


「誰だこれっ? スワンっ見ろ、もの凄い武器を持った奴がいるぞ。うわっ、なんじゃこりゃぁ、こいつメチャクチャ強いじゃんか。チーターじゃ無いのか?」


 そう言ったミュラーが監視しているのは、ゲートから谷底の台地に向かって左側の崖に近い一帯だった。


 スワンがミュラーのモニターを見に行くと、そこに映っていたのは鱗粉が舞い散る様な金色のオーラをその剣に纏う双剣のダークエルフ。画面の中央に映る彼に駆け寄る1人の男も映り込んでいた。


 彼の周りにはモンスターの残骸、切り刻まれた周辺にあったであろう諸々の草木、岩、その他モンスターからドロップしたであろう武器や防具、宝石などが転がっていた。


「スワン、セキュリティに抜けがあったのかな? VR系のオンラインに入り込むような、馬鹿な事をする輩が居るとは思わなかったけど」


「名前を出してくれますか? プレイヤーならビーコンを付けていますよね」


(モフモフか? というかモフモフうさぎも探索に行ってくれてたんだった。なんとかなるかもしれない)


「おっ、ちゃんとビーコンが付いてる。この人普通にプレイヤーじゃないか。なんでこんな武器を持っているんだ? こんな武器ってあったっけ? えっと……」


 ぞろぞろとミュラーのモニターを見に来る他のGM達。皆、モフモフうさぎが装備しているユニーク武器、ライジングサンの双剣の姿にガヤガヤ言い始めた。


「すいません、ミュラー、そのユーザーの名前はモフモフうさぎでしょう? 間違いないですから、ビーコンとこっちを繋いでくれませんか? 急ぎで」


「知っているのか? 知り合い? ……あぁ、確かに名前は "モフモフうさぎ" だ。また色々秘密な事をやってんだな……後でちゃんと説明しろよっ。ほらっ、繋いだ。強制通信だ、自分で話せよっ」


 ミュラーが席をスワンに譲って後ろに立った。他のGMも何か言いたげだったが今は黙ってくれている。


「こちらスワン、聞こえるか? モフモフうさぎ」


「なんだなんだ、また何か変な事を俺にしたのか? お前と直接話せるなんて……このフィールドってそっちとアクセス出来なかった筈じゃないか。つーかどっかその辺に居るのか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ