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13 モンスタートレインが走って行く

 モンスタートレインという言葉がある。冒険者達が迷惑がる行為の事をいうんだが、知らない人に説明しておく。俺の理解している範囲で言うから細かいことは気にしないでくれ。


 モンスタートレイン、それは今まさにハンマーボキッがやらかしている行為。


「やっちまったなぁ、あいつ。やっぱり馬鹿だ」


 つい口に出して言ってしまった。


 せっかく復活させてあげたのに何の注意も払わずにドンドコ走るもんだから、速攻でタミメータの群れに気づかれてしまっている。


「うわぁー、助けてー」


(うわぁ、助けてって。でかい声で叫ぶから他のタミメータも気がついてしまったじゃないか)


(ローズ、こっち)


 近くの樹木が呼んでくれた。背の高い木々の方からだ、タミメータに俺のことは見えてないはずだけど、糸を伸ばして木の上に避難した。木が揺れる揺れる、タミメータの群れが走るとその巨体の体重故か、地鳴りをあげて群れは通り過ぎて行く。


 少し離れて先導するお馬鹿さんが居る。そいつがハンマーボキッ、このモンスタートレインの主役だ。


 あいつが踏み潰されてどうかなるのは構わないんだが、厄介なのは奴がいく先々にいる人々が巻き込まれてしまう事だ。大概、ハンマーボキッの様な奴は他の冒険者が居る方へと逃げようとする。


(何とか止める方法があるといいんだけど……)


 しかし、タミメータの群れが大きすぎて止めようも無い。微妙にハンマーボキッの野郎は脚が速くてどんどん見えなくなって行く。


(大丈夫か? あれじゃ、間違いなく他の冒険者を巻き込むぞ)


 タミメータの最後尾が通り過ぎてから、後を追って行く。周りの草木が踏み潰されて酷いことになっていた。


(あ〜あ、大丈夫かい? こんなに踏み潰されちゃって)


(ローズ、お願い)


 見えない力、だけどはっきり感じる再生の力。倒れた草木が元に戻って行く……走りながら振り返ると、俺の通り過ぎた周りの草木が何事もなかった様に、風に揺られていた。


(ありがとう、ローズ)


(お礼はいいよっ、みんなの力だ)


 前を向いて先に進む。地鳴りは続いていて、まだハンマーボキッがトレインしているみたいだ。


(いっそあいつが追いつかれて、踏み潰されればモンスタートレインも終わるのに……やっぱり復活させるんじゃ無かったよ。こんな奴じゃないかと何となく思ってただろうに)


 俺が反省しきりで追いかけている最中に、タミメータのモンスタートレインの最前列では、巻き込まれ事故がもう起こっていたのだった。

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