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11 デザートグアナコを退治する

 ラヴィアンローズの目の前の茂みが左右に分かれ、目の前の "デザートグアナコ" とラヴィアンローズは対峙した。頭を向こう側に向けた "デザートグアナコ" は、まだ気づいていない。


 蠢く黒く濃い緑の触手が、ラヴィアンローズの左右の雑木林から何本も伸びてくる。先端は尖っているが、太い所は直径50cmは越えているだろう。まるで筋肉の塊、意識を持った緑の触手が一斉に "デザートグアナコ" に伸びた。


 一気に尾に巻きつく左右から伸びてきた緑の触手。巻きついた触手が膨れ上がりメキメキと尾を締め付けていく。


ズリャアァァァァ


 ラヴィアンローズが、今まで聞いたことのない鳴き声を発して、"デザートグアナコ" が、体をゴロゴロと回転させる。尾を締め上げた緑の触手を振り払うつもりだ。


ビュンッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ


 後から後から緑の触手が襲いかかって行く。腹に、背に、長い胴体の至る所に緑の触手の鋭い先端が突き刺さり、串刺しとなった "デザートグアナコ" が、血塗れになりながら、首を回して自らを襲う相手を探している。


 しかし、奴の目に見えたのは雑木林が変幻した、黒緑の触手が蠢く恐怖のみだった。


ギィ、ギャッ、ズギャッ


 体に突き刺さった触手を噛み切ろうと、首を回す "デザートグアナコ" が、尾から持ち上げられて行く。


 まるで巨大なクレーンに吊り上げられたかのように、逆さ吊りになった巨大なトカゲを、そのトカゲよりも太い緑の触手が、一度上空まで振りかぶって地面に叩きつけた。


ブァチィィインンッ


 鞭で地面を叩いたような、"デザートグアナコ" の潰れる音が鳴り響いた。風を切る鞭の先端は音速を超えると言われる。


 潰れた "デザートグアナコ" の姿が消えて行く。緑の触手のざわめきに、ドロップアイテムが出た音は聞こえなかった。


(ローズ、ローズ、元に戻して)


(あっ、うん)


 緑の触手がシュルシュルと縮んで、元の植物に戻っていく。あっという間に先程まであった雑木林が出現した。


(これがローズの力、あなただけの魔法の力。ローズは私達に力を貸してくれるの。スッキリしたわ、こいつに私達はだいぶ踏み潰されたもの。ローズ、あそこの人、まだ生きてるかしら?)


 俺は急いで倒れている人の側に向かった。胴体の鎧がひしゃげて、手足の向きがおかしい。気を失っているみたいだが、息はまだしている。


(MP♾はどうなるのか確かめてみよう、いい機会だ)


 俺は回復系の最終魔法、アナヴィオスイの呪文を唱えた。


⌘ この者に流れし命を我は再び結ぶ アナヴィオスィ ⌘


 ローズの足元の倒れた人と、ローズ自身を下から包み込む様に金色の魔法陣が浮かび上がった。魔法陣は地面から浮き上がると、グルリと回転しながら2人を金色の光で包み込み、ローズ達をを通り抜けて静かに上空で消えた。


 倒れていた人の体の傷が消えた。死にかけた体が元に戻り、命の灯が再び輝き出す。


(この辺りに他のモンスターはいるの?)


(いいえ、居ないわ。さっきのトカゲを恐れて他のモンスターが何処かへ行ったみたいなの。その人は大丈夫だった?)


(うん、元に戻ったよ。MPが1になるかと思ったけどならなかったよ。♾は♾のままって言うことか……)


(ローズの魔法の力の事?)


(うん)


(ローズ、ローズにはこの世界から常に魔法力は補充されているのよ。この世界に居る限り、私達はローズと繋がり続ける。それはつまり、私達が吸った魔力の行き先があなたって事であって……)


「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ」


 倒れていた人が咳をしながら目を覚ました。俺はそっと距離を取る、糸のお陰で俺の姿は見えない筈だ。


 自分が傷一つ負っていない事に気がつくと、男は立ち上がり辺りを見回して、慌てた様子で逃げようとした。しかし何かに気がついたみたいで先程 "デザートグアナコ" が消えた場所に駆け寄った。


 彼が手にしたのは拳程の大きさの丸い石、グアナコの目と言われるアイテムだった。


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