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4 夜の豹 一般の人達②

グゥオォォォォォ


 体に走った痛みを与えた敵に向かって突進を始めたタミメータ、こいつもさっきの奴と同様デカイ。


 スタンガンが向かってくるタミメータの進路の正面に立ち、槍を構えて呪文を唱えるタイミングを見計らう。


ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ


 重低音の響きの足音が変化した。


ドドッドドッドドドド・・


 スピードに乗っている、速いっ。


「まずい、避けろっスタン。勢いで氷を弾くぞっ!」

 ナイトパンサーが言った直後、風の刃がタミメータに襲いかかった。巴御前が後方から、風の呪文を唱えてタミメータの勢いを削いだ。


⌘ 凍てよっ大地、アイスグラウンド ⌘


 巴御前が作ってくれた間を逃さず、スタンガンは槍の柄を地面に突き刺し、IGアイスグラウンドを放った。


バキバキバキバキッ、ズシッ


 タミメータの前方の地面が凍り、凍った範囲は一気に広がっていく。その地面にタミメータの脚が触れた瞬間タミメータの四肢は地面に氷で固定されてしまった。しかし体重の乗った突進の勢いは止まらず、氷の地面を引き剥がして転がって滑り来るタミメータ。


 ガルフが呪文を放ったスタンを横から抱えてタミメータの進路から飛び離れた。


「次頼むぞっ」


 スタンガンを降ろすと、ガルフはポールアックスを円弧を描くように振って、倒れたタミメータの首筋に叩きつけた。


 倒れたことで露わになったタミメータの首元、立っている時にはガードされている首元が、実はタミメータのもう1つの急所であった。ガルフは見事に首元を掻き切って一撃で仕留めた。


「うおー、アックスのスキル値スゲー上がる」


 ドロップアイテムの落ちる音が消えたタミメータの倒れていた場所から聞こえた。


「ドロップは何?」


 そこには仕留めたタミメータの姿が消えて、青っぽい石の結晶が落ちていた。


「おっ、アクラブだ。初めて見た、これアレだろっ、武器のレベルを上げる時に必要なマテリアル」


「そうそう、確か街で売っていたのが10万レイだったはず。使うのもいいけど、売ってお金にした方が今は良いんじゃないかな」


 まだまだ初期装備から抜け出せていないギルドメンバーの姿を見て、ナイトパンサーは言った。


「みんなの装備を買う資金に充分な額だよ。このロングソードが3000レイだったから、このアクラブ1個でかなりの装備が揃うはずだ。もっと集めれば凄い事になるぞ」


「それはそうだが、皆、MPマジックポイントは大丈夫か? 特にスタン、君のIGアイスグラウンドが無いとこの戦い方は成り立たないからなぁ、ポーション足りてるか?」


 ガルフがポーチからポーションを取り出そうとして言った。


「大丈夫、IGの使用MP10だから俺のMPマックスで10回いける。ここのMPの回復量はアクエリアよりも早いから、間が空けばポーションも要らないくらいだよ」


「うちのチーム、連携すごく無い?ソロじゃこんなの倒せないよ」


「巴とか、ガルちゃんとか何も言わなくても対応してくるもん。いや、すげーわ」


 さっきも助けられたスタンガンが言った。


「しばらくここでタミメータを狩ってそれぞれのスキル値のレベルを上げつつ、お金を稼いで装備を充実していくって方針で行こう。ドロップで装備が落ちる時もあるし、美味しい狩場だ。手持ちの荷物が多くなったら一旦アクエリアに帰ろう」


「了解」「ウイ」「はーい」「ほーい」「うっす」


 絵に描いたようなチームプレイ。それぞれが別々のオンラインゲームで鍛えあげてきたゲームの感覚が見事にはまって、ギルド 【夜の豹】 のパーティは他のプレイヤー達よりも強いモンスターを狩れるチームとなっていた。

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