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11 何故それを聞いてくる?

 ゲートが南に位置する場所に辿り着く前に、自分で走った方が早そうだ。他の連中もそう判断したんだろう、誰も残っていない。



 ────────────────────

 ラヴィアンローズ>モフモフさん、どこ? ルミワーム狩ってる?


 モフモフうさぎ>今さ、全員で畑耕し状態。ルミワームは、まだ1匹しか狩れてねえよ。マップ見てみ

 ────────────────────



 ── マップか、どこだ? えーと、マ・マ・マ…… 視界の右中央に、ドラム式のコマンドが回転して表示される。頭で考えた通り[マ行]の表示だ。



 マップ

 マナ

 メイジ

 マップ

 マナ

 メイジ

 ・

 ・

 ・



(高速で回して見えなかったけど、3つしかマ行がないじゃん。用があるのはマップだよ)


 マップが開かれた。


 ── 街とその付近が表示されている地図。拡大すると自分の位置が青の点で、黄色の点が南に多数集まってる。今俺が居るのは街のゲートの1つで、あと少しでその場所に着くみたいだ


 ジリジリとマップの中のアクエリアの街が回っている。俺が動いた周辺しか街も表示されていないが、この街が大きな円盤形をしているってのは、何となくわかる。


(なるほど、NPCのおっさんと話して外に出る頃にはちょうどルミワームの居る地帯って事か。このクエスト、街自体が回っているから、たまたま飛び込んだ吊り橋のゲートに、都合良くチュートのNPCが居るという風にすれば、クエスト自体の整合性に問題は生じない訳か。リスポーンゲートの1番近くの吊り橋に、常にクエストNPCが出現するようにしておけばいいだけだからな)


 このクエストの担当NPCが、決まった吊り橋に居るとなると、もしも街を挟んで反対側に居た場合は凄い距離を走らなければクエストを受ける事が出来ない。なんて心配をしてみた俺。



 ────────────────────

 ラヴィアンローズ>モフモフさ〜ん、もうすぐです。外に出て走りますね


 モフモフうさぎ>ゆっくりでいいよ。ロビーさんもここに居るから、ちなロビーさんもマイナス6000組だし


 ラヴィアンローズ>さっきの計算したんですけど、モフモフさんはルミワームを300ぐらい狩らないといけないですね


 モフモフうさぎ>ぐぅっ、レベル2になるハードルが高すぎる!


 白刃のロビー>お疲れ様です。ラヴィさん

 ────────────────────



(おっ、ロビーさんもチャットに入ってきた)


 ── マップを見ると、もうゲートから外に出ていいタイミングだ。疎らな草地にむき出しの大地、見渡す限り茶色と緑のコントラストが続いている


(そして潮干狩りを楽しむ沢山の人々……じゃねぇ芋掘りに勤しむ……どっちでもいいや、なんか違うだろっ。β版オープン初日の光景としては、歴史に残る惨状だぜこれ)


 スクショで一枚記念にパチリと。


 デカイ戦士がボッコボコに土掘り返してる。たまーにルミワームってわかる60センチぐらいの芋虫が、空中に跳ねあげられていた。


(あーあ、なんのひねりもないあのシルエット。まんまデカくしたミルワームじゃないか。トカゲとかハムちゃんの餌だろ、運営手抜きですぞ。名前すらほとんど変えてないではないか。しかし、あの芋掘り戦士、近くに行ったら巻き添えをくらう勢いだ。おっかねぇ、あの近くで見物している群衆の片隅に、モフモフさんとロビーさんも居るのかな?)


 俺はゲートから吊り橋を渡って芋畑のフィールドに出た。人が多過ぎて、どこに入って行けばいいのかわからない、そんな感じの人々が沢山居る。


(たまにポップするルミワームに群がる人々を見ると、遠い昔のオンラインゲームを思い出す。2時間に1回ダンジョンの最下層に、たった1体しか湧かないボスモンスターが現れるのをひたすら待つみたいだ。

 ただ少し違うのは街から徒歩10歩、多分ゲーム内で最弱なモブをひたすら待っているってことくらいか)


 ────────────────────

 ラヴィアンローズ>モフモフさん、ロビーさんどこですかー?


 モフモフうさぎ>ラヴィちゃん、ちょっと聞いていい? 嫌なら違うでいいから


 ラヴィアンローズ>はいっ? 何?


 モフモフうさぎ>ロビーさんにはもう聞いたんだけど、ラヴィちゃん農家?


 ── んっ、いきなり農家って? いや僕は、ネカマですけど

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