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115 騎士になる条件

お姫様のお披露目会④

「すまないな、モフモフうさぎ。だが昨日のロゼッタの発言を利用しようと思って君達をここに呼んだんだ。ロゼッタは龍の目玉、リサは薔薇の絵、何故か2人はこのアイテムを持って来いと言った。ならばその2つのアイテムがある場所をプレイヤー達に提供しようと思う」


「それがあっちのワールドって事か。アイテム探しに冒険者を参加させて、ついでにラヴィちゃんも探させる、強制ではないが1つのクエストとしておけば大勢の人手を借りる事が出来る」


「もう手は打ってある。早い連中はもうあっちのワールドで探索中だ。ただ、モフモフうさぎにお願いがあるんだ。この件は誰にも話さないでくれないか、今この事が明るみに出ると、アンタレスONLINEは終わってしまう」


「分かってんよ、ただなぁ、お披露目会とかやるか普通。ロゼッタって何を考えているかわかんねえぞ。父親に無理やり男を押し付けられて、その腹いせにその辺の犬の糞みたいな奴を選ぶかもしれんし……スワン、黙っといてやるよ。だけど、もしもロゼッタが誰かを選んだとしたら、父親のお前は反対しろよっ。絶対だぞっ」



 ◇◇◇



 王宮前の広場では、ロゼッタとリサのお披露目会が続いている。昨日、ロゼッタとリサが引っ込んでしまった後に、運営からプレイヤー全員に通知が届いた。


 〓〓〓〓〓〓〓〓〓臨時報告〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 ロゼッタ姫、及びリサ姫の騎士になる為の条件に、ロゼッタは 【龍の目玉】、リサは 【薔薇の絵】 を探し出して来る事が追加されました。


 お披露目会自体で姫から直接に選ばれるか、探して来たアイテムが2人のお眼鏡に叶えば、晴れて姫付きの騎士として認められます。


 姫付きの騎士の特権として、爵位の授与【男爵】、専用の鎧、制服の貸与、家名の付与を用意しています。


 尚、当該のアイテムが有るとされるフィールドを本日より解放します。


 転送ゲートは街にあるリスポーンゲート、つまり噴水広場自体とします。


 噴水広場で転送コマンドを開いていただくと、行き先に "霧の谷ストレイ" と表示が出ますのでそちらを選んでください。


 当該地域では、他にもレアなアイテムが多数手に入ります。多数の皆様のご参加をお待ちしております。


 〓追記〓


 霧の谷ストレイの情報を、アクエリア公文書館にレポートで提出して頂くとお礼が貰えます。同時にクエストも貰えますので、ぜひ公文書館にも足を向けてみて下さい。

 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 王宮広場の右側にある庭園の中、噴水の側にある芝の小山の上で、1人残ったスワンがモニターを開いて "霧の谷ストレイ" の様子を見ていた。ゲートから転送されるプレイヤーには、全員にポインタが打ち込まれていて、スワンのモニターで確認する事が出来るようになっている。


 モフモフうさぎとマッテオは、すぐ側の噴水から2人でラヴィの探索に向かった。ラヴィアンローズが居なくなってからもう2日と半日経った。全社を挙げての捜索が昨日から始まり、他の鯖はメンテナンス中として、そちらを担当していたGM達もヘルプに入って来ている。


 オンラインゲーム中に亡くなったというニュースが流れないかを本部が常に調べてくれている。まだそのようなニュースは無いそうだ。


「どこに行ったんだ、ラヴィアンローズ。早く戻って来てくれ」


 午後には、スワンもカルとバッドムRと共に探しに行く予定だ。


 ── お披露目会場の歓声が聞こえる。


 死んでしまわなければログアウト出来ないフィールドにラヴィが取り残されている。ならばと、霧の谷ストレイに数多くのモンスターを配置する事にした。

 ワールドを飛び越える帰還アイテムの実装が急がれる今、まだそれを装備出来ていない自分達にも、同じ事が起きるかもしれないのだ。

 しかし、今はとにかく彼が生きていると信じて探すしか無い。こうしている間も刻々と時間は過ぎて行く。その性能の実態を知らないまま採用した量子系記憶媒体の事を呪いながら、スワンは公文書館へと向かうのであった。


 何も知らないアクエリアの冒険者達は、今日も思い思いにこの世界を楽しんでいる。城門の外で、 城に侵入を試みたプレイヤーが衛兵に捕らえられていた。


 ── 何かの間違いであって欲しい。


 アクエリアの街を歩きながら、現実との境が分からない感覚に陥って、スワンはアンタレスの空を見上げて眩しげに目を細めた。

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