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常闇の聖女  作者:
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常闇の聖女


少女は蝋燭の灯りの中ひたすらに祈りを捧げていた。寝食を取らず祈りをする姿はまさに聖女そのもの、しかし祈りの間には少女独り……



少女の髪は絹の様にしなやかな黄金色。眼も今は閉じているが空の色を思わせる紺碧……観るもの全てを引き込み虜にする魅了眼と言われ、未来の『夜会の薔薇』と噂になるほど人気があった。



幾ばくの年月が経ったか少女の体がピクリと動く。睫毛もピクピクと動き少しずつ眼が開かれた。少女は祭壇に飾られる女神へと頭を下げ言葉を述べる。

そして祈りを終えたのち辺りを見回した。


「ん〜、どうしましょう?お祈りの間の清掃がされていませんわ。綺麗好きなフォンセ神官長様ならお小言の1つや2つ、いえこれは一の鐘ほどの説教レベルですのに??」


少女の言葉通りフォンセ神官長は綺麗好きである。または潔癖症と言っても過言ではないであろう。掃除に関して細かい神官長は掃除されていない場所を見るなり担当の従者を呼びつけ小言を言う。小言で済めばいいが説教になると一の鐘中ずっと叱られるのである。

1日は12鐘とされており、ずっと叱られるのは精神的な苦痛を伴う。




思案した少女は周辺を見回し神官長の小言または説教を避けるべく掃除をし始めるのであった。





掃除が終わりが見え少女はふと思い出した。



(ふぅんふぅんふぅんふぅ〜ん……あっ、確か聖女の儀の際は外から開けられないんだった………まあ掃除もあと少しで終わりますし、聖女の儀の終わりも外には分からないでしょうからいいでしょう。他にも何かあった気がするけど、…………神官長にお小言言われる前にやれば大丈夫ってことで。 )



少女は聖女の儀を終えた事を始めに知らせるよりも神官長の小言を回避する事を優先した。



しかしその選択は間違いであった……。




ダンダン‼︎



祈りの間の扉を叩く音が響く……



少女はビクッとし扉から離れる………

女神像の祭壇まで下がったところで再び扉を叩く音が祈りの間に響いた。



その音に少女は驚き祭壇に供えられていた花瓶を倒してしまった。



パリーンと祈りの間に音が響く。



それと同時に外にも聴こえたのであろう、扉を叩く主から声が掛かる。



「シエラ、大丈夫かっ!?怪我はないか??」



フォンセ神官長の声がする。聖女の儀は長くとも3日程度なはず……なのに懐かしく久しく聞いていないかの様に、また何故か胸を鼓動を熱く感じた。ドキドキとする鼓動を抑えつつ少女は返事を返した。



「しっ、神官ちょー、だっ大丈夫でございましっ。」



少女は声が裏返りながらも返事をした。



扉の向こうから神官長が再度声を掛ける。



「ふぅ〜。

そうか久方振りに体を動かすのだゆっくりでよい、いくら時間を掛けてもよいから扉を開くのだ。こちらからは開くことは出来ぬっ…………


いいかゆっくりとだ。」



神官長の声が今までに無いほど優しく本当に身を案じていると感じる

……

………

…………不気味である。



先程までの胸の鼓動はこの不気味な声色だったのかと断定し、気持ちを切り替え扉がある場所へ



そして深呼吸を三度行い扉を開くのだった。



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