罪悪感
「いってくるね」
「うんいってらっしゃい」
しおりはひかりになって仕事へと出掛けていった
俺は母さんと同じことをした
母さんが俺を父さんに重ねたように
ひかりをしおりに重ねてしまった
でも母さんと俺が違うのはひかりがそれを受け入れてくれていること
あれだけ嫌悪した母さんと同じ事をしている自分に絶望したと同じくらい
しおりをまたこの手にしているという喜びを感じた
家事の合間にテレビを観ているとひかりが映っていた
過去の名作映画を放送している番組で
ひかりが主演の映画だった
画面の向こう側にいる彼女はとても魅力的で手の届かないところにいる人だった
アイドルとして、女優としている彼女はしおりではなく
間違いなくひかりだった
ひかりの魅力に取りつかれたように見居っていると映画は終わってしまった
他に出ている作品があるのか気になって調べてみたがこの一作だけだった
「おかえり」
「ただいま遅くなっちゃった早くご飯食べよう」
「もう準備できてるよ食べよう」
「はぁおいしい、毎日帰ると美味しい食事が待ってるなんて幸せぇ」
「そう言ってくれると作りがいがあるよ
ところで映画なんで一つだけしか出てないの?すごい良かったのに今日テレビ見てたら映画やってて観たんだ」
「演技下手だから仕事が来ないのよ」
「ええ素人目に見ても上手かったよ
引き込まれちゃったよ」
「いいの!私は今しおりなのしおりは映画なんて出てません」
それからその日は一言も喋らなかった
聞いちゃいけないことだったかな
明日は機嫌なおってるだろうか?
寝室で寝ているとドアがあいた
そして彼女が入ってきた
俺の横に入ってくると
「バカ」
と言ってそのまま寝てしまった
しおりは俺にバカなんて言わなかった
でもこうやって甘えてくるひかりが可愛くて愛おしく思えてしおりに対して罪悪感が芽生えた




