新たなしおり
「秀くん」
もうそう呼ばれるなんて思いもしなかった
でも恥ずかしくて照れてしまった
しおりがまた現れてくれた
俺はひかりに感謝した
俺は居候記念に料理を振る舞うことにした食材は買ってきてもらった
ただキャベツがレタスだったり
バターがマーガリンだったり
牛肉じゃなくて豚肉だったり
ちょっとそういうことには疎いようだ
やんわりと違うことを伝えると
「違うの、私レッスンばっかりしてたし
外食ばっかりだったから
常識ない娘ってわけじゃないから」
必死に取り繕う彼女は同棲しだした頃のしおりのようだった
「大丈夫、少しずつ覚えてもらえば
もしくは食材の宅配を頼むとかさ
とりあえず今日はこれで作れるから気にしないで」
そういうと彼女は安心した顔をした
「おいしい」
無邪気な笑顔で言った
「秀くんすごいね、シェフみたい他にも作れるの?」
「うん、まぁリクエストくれれば作るよ
あ、食材は間違えないでね」
意地悪に言うと
頬を膨らませながら
「ちゃんと教えてくれればわかるもん
じゃあ明日はビーフシチュー作って!」
「任せろ」
彼女は同い年で二十歳だった
オートロックでそこそこ広い部屋に独り暮らし
収入もそこそこあるみたいだし
結構有名な人なんじゃないかなと思った
彼女は寝室を用意してくれて
俺は久し振りに落ち着いて眠ることができた
その日夢を見た
俺としおりが料理をつくっていて楽しそうにしている
そんな悲しい夢だった




