いい子な秀
「秀、次のテストも一番取るのよ」
両親は物心ついたときには離婚していた
母親に引き取られた俺は常にいい子であり続けた
小学校に入って初めてのテストで満点を取った時あまり笑わない母さんが笑顔で褒めてくれた
それが嬉しくてたくさん勉強をした
でも満点じゃないときは殴られた
「そんなんじゃ和秀さんみたいになれないわよ!」
記憶にない父は頭がよくてスポーツができて
すごい人だったらしい
俺を父さんみたいに優秀ですごい人にさせることが母さんの目標みたいだった
母さんは俺を私立の進学校に行かせるため夜遅くまで働いてくれた
俺も父さんを目標に期待に応えるために頑張った
母に少しでも楽をしてもらうため家事全般は俺が進んでやった
特に料理は母が一度美味しいとボソッと言ってくれる時があったから好んでやった
でも勇んで作りすぎるとそんな時間があるなら勉強しろって殴られた
母さんが大好きだった
私立の中学にあがって一年生の間は学年でも一二を争うぐらいの成績でいた
二年生になったとき俺は虐められるようになった
最初は無視していたが教科書を隠されたり破られたりするようになって成績が悪くなった
「秀、和秀さんはそんな落ちこぼれじゃない」
今までにないぐらい冷たい目だった
存在を否定された気がした
俺のせいじゃないのに
俺は虐めをしてくる連中を椅子で殴りまくった
もう辞めるって約束してくれた
でも母さんが学校に呼ばれ話し合いになった
「秀、和秀さんはそんなことしない
和秀さんのまわりには常に人がいて尊敬される人だったわ
そういう人じゃなきゃ母さんは嫌だ」
そんなの俺は、
どうしたらいいかわからなかった